突然現れた「りんご男」

 

ばあちゃん家の目と鼻の先に、小さな公園があった。

 

ブランコ、鉄棒、砂場、砂利道、電話ボックス。

 

どれも鮮明に思い出せるほどに、私の居場所だった。

 

いつものように一人でブラブラしていると、突然近所では見かけない、真っ青なスポーツカーが私の前で突然停車した。

 

なんだか怖くて速足で帰ろうとした時、中の男が叫んだ。

 

「〇〇ちゃんだよね?」

 

私の名前だった。

 

 

 

 

 

今現在こんな事が起これば、早急なる通報案件であり、「女児への声掛け事件」として一斉連絡メールだ。

 

とにかく驚き、後ろを振り返る。

 

男は叫び続ける、「これあげるから!」 こっちにおいでおいでと手を招くではないか。

 

まさしく、ヤバイやつだ。

 

 

名前を知っているので知り合いかも?という気持ちから、恐る恐る近寄る。

 

するとスーパーのレジ袋に入ったりんごを数個、無理矢理押し付けてきたのである。

 

そして、「お母さんによろしく」と言って、真っ青なスポーツカーとりんご男は去って行った。

 

 

 

私はあっけにとられたと同時に、「知らない人から物をもらってはダメ」ときつく母と叔母に言われていたので、とんでもない事になったと思った。

 

母はいつも通り昼間は寝ているので、難なくりんごはいつもの分厚い電話帳入れに隠せた。

 

隠せた事により、私の中ではこのりんご男の処理は終了した。

 

 

 

しかし、今後このりんご男が生涯私の人生に関わっていく事になるのである。