新しいお父さんは、とにかく几帳面だった。

 

私は親戚一同、大雑把な中で育ってきて、やる事なす事すべて真逆だった。

 

新しいお父さんは、一回一回、細かい事を注意してきた。

 

もちろん、私が大雑把過ぎるので、言われて当然な事も多々あったが、とにかく息苦しかった。

 

すべて見張られている気がした。

 

 

 

特に注意されたのは、お箸の持ち方だった。

 

きっと新しいお父さんは、私の事を思って注意していたのだろう。

 

だけど、夕食は私にとって最も辛い時間となった。

 

 

 

私は食事よりも、自分のお箸の持ち方に全集中した。

 

だけどこそは子供で、ついまた指がずれてしまう。

 

「そうじゃないと何回言ったらわかるんだ!!」

 

 

 

 

 

もう萎縮してしまい、喉に食べ物がなかなか通らなくなった。

 

今まで、「出された物は残さず全部食べなさい」と祖母に言われて、それだけは守ってきたが、もうどうしても無理になった。

 

毎日半分くらいで残すようになっていた。

 

 

ある日、食べ始めてすぐ、「また!!違うと言ってるだろ!」と怒られた。

 

その日はなぜか、涙がこぼれ落ちそうになって、それがバレるのがイヤで、すぐに箸を置いた。

 

「ごちそうさまでした。」

 

急いで自分の部屋のベットの中へ駆け込んだ。

 

 

 

 

 

 

まだ一口二口だったので、母が心配してのぞきにきた。

 

布団をめくり、泣いている私を見て何も言わず、背中をさすってくれた。

 

 

 

それから新しいお父さんは、一切お箸の持ち方については言わなくなった。

 

それから母とどのような会話があったのかは聞いていない。