新しい家族の追加
私はいつもまで経っても、新しいお父さんに懐かなかった。
そして、家の中では、聞かれた事以外はほぼ話さなくなっていった。
母はその頃、すでにお腹の中に赤ちゃんがいて、二人はその事が何より嬉しそうで、新しいお父さんは家を出る時には必ず、母のお腹をなでた。
「あなた、お姉ちゃんになるよの」
とても嬉しそうに母は言ったが、私には何の感情もなかった。
新しいお父さんに、新しい兄弟に、色んな新しい家族の登場や環境への変化に、全く心が追いついていない状態だった。
当時の新しいお父さんには、私に対しての責任感はあったと思う。
自分の汗水垂らし必死で働いたお金で他人の子を育て、その子は全く懐かず、子供らしさの欠片もなく、いつも無表情。
その頃20代のお父さんに、昨日今日いきなり自分の子供になったからと、そんな子供に愛情を求めるのは酷というものだ。
愛のない厳しさには、子供は敏感に反応する。
敏感に感じ取り、心を硬く閉ざしてしまう。
家庭での私は、母しか頼る人がいなくなった。
ここまでは最低限、私に向けられる母の関心はまだあったと思う。
新しいお父さんに厳しく色んな事を注意されても、母は後から「お父さんは、あなたを思って言ってくれてるのよ」と言いながら、私の顔色をうかがっていたと思う。
妹が誕生する。
ここからが、「家族なのに一人だけ家族じゃない」状態の本番だった。
少しあった母の私への関心が、新しいお父さんと、新しい赤ちゃんにしか向かなくなってくるのだ。
母を責めているわけではない。
至極当然の流れだ。