和田家文書の中から、面白いと思ったものを私なりに現代語訳して紹介しています。
松平忠輝は父・家康が生前、信州川中島の12万石へと国替えさせましたが、忠輝が若かったために大久保長安を財政後見役として補佐につけました。
信州は武田の隠し鉱山がある、と大久保長安が家康に推挙したのでした。
それまで特別な収入がなかった川中島でしたが、その鉱山の収益で松平家は安泰でした。
慶長12年（1607年）松平忠輝は、伊達政宗の娘・五郎八姫を妻に迎えました。
慶長18年（1613年）、大久保長安が亡くなったとき「部屋にあった石櫃（石の箱❓）の中に幕府転覆を企てた書状があった」と隠密・服部半蔵からの訴えがありました。
家を捜索され出てきた書状には、徳川家康6男 松平忠輝・伊達政宗・秋田実季・南蛮人フランシスコ会師ルイソテロ等の関与が疑われる内容があり大騒ぎとなりました。
しかし、これは徳川秀忠の陰謀によるものでした。大老（幕府の最高権力役職）らによって幕府直接ではない遣欧船を制止するための策略だったのです。
発見された書状には首謀者の名前はありませんでした。しかし最も疑わしいとされた大久保家の子息7人は、同年７月ことごとく打首とされてしまいました。
この事件は大久保長安一人の謀事として一旦は落着したのですが、大老の審議に異議があがり、さらに諸老中から大久保長安の子息を処罰したことについて秀忠のもとに苦情が相次いだため、この事件については、これ以上の審議をせず、お裁き無しとなりました。
その後、慶長18年（1613年）9月15日、サンフアンパプチスタ号は月浦から満月を迎えて遣欧の航路に出帆したのでした。
翌19年（1614年）は大阪夏の陣、元和元年（1615年）は大阪冬の陣。
徳川幕府は坂東に中央政権をおき、全国統一の基礎を作りました。
さらに翌年（1615年）、徳川家康の死去とともに幕府功勲賞罰評定がなされ、松平忠輝は関ヶ原に参陣しなかったことを理由に改易（領地財産没収され平民になる罰）され、伊勢朝熊（三重県伊勢市）に蟄居となりました。
元和6年（1620年）、支倉常長が訪欧の旅を終え仙台に帰航しましたが何の出迎えもありませんでした。
支倉常長も謹慎とされ、幕府船目付の向井将監の立会いのもと、訪欧船サンフアンパプチスタ号は追波湾沖で爆破されてしまいました。
徳川秀忠の周りでは陰謀が渦巻き、元和9年（1623年）にはついに将軍を家光に譲らなければならなくなりました。秀忠は後の事を伊達政宗に託しました。
寛永8年（1631年）徳川秀忠の病床を政宗が見舞おうとしましたが幕府の謀によって制止され、再度幕府創建時の評定を審議を受けることとなりました。その矢面に挙げられたのは秋田実季でした。
実季も関ヶ原合戦に参陣しなかったことを咎められ、松平忠輝のいる伊勢朝熊に蟄居となりました。
しかし政宗には徳川秀忠からの添状があり、秀忠の後継として大名の地位はそのままとされました。
秋田実季は不服ながらも松平忠輝とともに、伊勢朝熊の蟄居の月日を過ごしたのでした。
文政5年（1822年）7月2日 秋田孝季
（和田家文書コレクション 丑寅風土記 第全六ノ六より）
伊達政宗の娘・五郎八姫は家康の6男（松平忠輝）に嫁いだんですね。当時の縁組というのは大事な戦略といえますね。いやもっと大昔からかな。
遣欧船が7年もの航海から帰ってきたのに出迎えもなしとは寂しすぎます
さらにサンフアンパプチスタ号を向井将監立会いのもと追波湾沖で爆破‥（そんなぁ
）
）彼は爆破される船を見ながら何を思ったでしょう。
Wikipediaをみると、向井将監はサンファンバウティスタ号には乗っていなくて、幕府の役人として大工を派遣したり、航海安全の祈祷札を届けさせていた、とあります。
そして「安宅丸（あたけまる）」という御座船（天皇・公家・大名の専用船）を建造したそうです。
※神戸ベイクルーズさんのホームページからお借りしました。御座船安宅丸をモチーフに作られた船で、神戸港の遊覧ができるそうです。
さらに国際貿易港として開港した浦賀湊でスペイン貿易を統括し、スペイン商船の渡海朱印状の仲介した、とあります。
いずれにせよ海のスペシャリストだったわけですね。
向井将監が伊達政宗の遣欧船に乗っていたという記述は和田家文書にしかないようです。こういう所が和田家文書の面白いところです
👍
👍最後は秋田実季と松平忠輝の伊勢蟄居先でのボヤキが聞こえてきそうですね。
「何だよ、政宗のヤロー💢」
「お前もやられたか。まあ、座れって。さ、飲めや🍶」
「‥ふー。しかし政宗のやつ、上手くやったよな。納得いかねーけど‥やっぱあいつすげーよな」
「ま、悔しいけどそうだな。こうなったら政宗のお手並み拝見といこうや。さ、もう一杯🍶」
な〜んて、スルメと日本酒が見えるような‥。
二人とも立派なお侍さんだから、もっとお上品かもしれないけど。あくまで私の妄想です
ひとまず伊達政宗のサンファンバウティスタ号についての段は今回で終わりです。
いつも長文にお付き合いくださり、ありがとうございます😊
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