霽月の館のクリスマス | 蒼空の霽月

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もう何でもあり。

動物を保護した経験


このブログを始めるとき、タイトルを現在の『蒼空の霽月』にするか、それとも『霽月の館』にするか、どちらかで最後まで迷ったのだ。



我が家で一番大きな保護動物は、愛方である。


機能不全家庭で生まれ育ち、病的な関係下にあった母親から脱するべく北海道から独り逃げてきた関東圏では、その後15年間にも及ぶDVストーカーからの軟禁生活が待ち受けていた。


身内はもちろんだが、助けを求めて駆け込んだ警察をはじめ、公的な機関は誰も彼女を助けてはくれなかった。


僕と出会ったときの愛方は、まさに手負いの獣であった。


(T▽T)


愛方は僕との間で精神の病を少しずつ克服しながら、子供の頃に得られなかった健全な成長過程をやりなおし、最後の認知の歪みと言えるものがほぼ完全に修正されたのは、実に出会いから10年を越える時を経過してからであった。



ましろは野良猫としては、まずまず恵まれたコミュニティには居た。

餌やりボランティアさんがいてくださり、自費で避妊去勢手術をしてくださる方もいて、人に懐いていく子には順次貰い手もついたようだ。


でもましろはご存知のとおり全く人馴れしない猫だったため、病気になっても積極的には保護されず、もし捕獲できて治療と去勢手術を受けられたとしても人の家には入れてもらえない、さくら猫になって再びリリースされるほうの猫だっただろう。



カシオペイアは「動物に優しいはずの施設」にいたのだが、彼女だけ酷い状況下におかれているということに、僕以外の人は気付きすらしていなかった。

もし同等の環境にあるのが犬や猫だったら、保護団体にでも愛護団体にでも、すぐさま糾弾されていておかしくないのに…。


カメが寿命の長い生き物なのは分かっていたので、おそらく人より短命であろう疾患を持つ僕が引き取るのには躊躇いがあった。

でも少し可愛がってくれていたふうの人に打診しても、即答で


「無理無理無理無理!!」


と遮断される。


それがまた哀しくて、切なくて、やっぱりカシオペイアは僕が連れて帰ろうと決めた。



そして僕自身が、多くを助けるためにあるはずの医療機関を頼ることがマイナスになる身だ。


途中で発症した骨髄の難病のほうは、確かに命に関わったけれど、実はこちらはそこまで悲観的に捉えたことはない。

だってこれに関しては、他の人と同じように、僕にも誠実な手が差し伸べられていたから。

治療法が確立されていない疾病で、副作用の強さから投薬は中断、手術もできなかったけれど、それでもきちんとした医療体制の中でお医者さんは最大限やってくださった。


多くの人と同じ扱いを受けられた。

多くの人と同じように自分も扱ってもらえた。


結果はともあれ、それで十分だ。



弱きを助けるために、それを使命と奔走する人たちがいる。

けれど、彼らからさえも取りこぼされてしまう、

存在していることすら見えていない、

更なる暗闇にポツンと取り残される者がいる。


そんな者たちがひとつ屋根の下に集まって、今こうして心から穏やかに笑い合っている家。

ここは


霽月の館


だなあって(笑)。




僕がもし健康体で、もし力量もあって、もし多くを助けたいという志でそういう何かしらの活動をしていたら、カシオペイアやましろや愛方はきっと闇に沈んだままだった。


僕は多くのためには生きることのできない凡人だ。

でも、だからこそ出会えた笑顔もあるんだ。




『クリスマス』や『誕生日』みたいな、あたたかな家庭を想起させるものに強い拒絶のあった愛方。

『我が家』という言葉が大嫌いだった愛方。


そんな彼女が


「きれいだねえ(//▽//)✨」


って目を輝かせてくれるようになった、この家で過ごす6回目のクリスマス。


ささやかだけど、笑顔いっぱいの、そんな『我が家のクリスマス』です。








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