お彼岸の中日です。
 
今日を境として夜が長くなります。
 
「彼岸」は仏教用語の「波羅蜜多」の意訳で、至彼岸が由来。
 
あの世が彼岸、この世は此岸。
 
太陽が真東から昇り真西へと沈む、秋分の日はあの世とこの世が最も通じやすくなると考えられたことから、お彼岸に墓参りをする慣習が生まれたとされます。
 

日本人にとって菊の花は葬儀やお墓参りにつかわれる花の印象が強いのではないでしょうか。

 

しかし、日本で菊の花が葬儀や墓参でつかわれるようになったのは明治時代から。

 

じつは西洋文化の影響なのです。

 

フランスでは、11月1日が「諸聖人の日」というカトリックの祭日であり、日本でいえばお盆にあたります。この日に備える花が菊なのです。この習慣が日本へ伝播したといわれています。


菊の原産国である古代中国では、仙境に咲く邪気を祓い延命長寿の効能がある花とされ、重陽の節句でつかわれました。

 

日本に伝来すると、重陽の節句の前夜に菊の花を真綿で覆い、早朝に露に湿った菊の香が移ったこの真綿で顔をぬぐい長寿を祈願するという日本独自の「菊被綿」という習慣が生まれます。

 

菊は中国から日本を経由して17世紀にポルトガル人が西洋にもたらしたという説もありますが、19世紀になってフランス人がマルセイユ港から西洋へ伝搬させたことが普及したようです。西洋へ菊が伝来したのは中世以降。墓参において菊をつかうようになったのは、西洋から東洋への菊の里帰りということになるのかもしれません。