「きもの展」内覧会レポのつづき、その3 です。

 

疫病の流行がなかったら世界中で話題になったかもしれない展覧会。

 

世界中の人々に知っていただきたかった日本の染織の技と流行、その成り立ち。

 

安土桃山時代まではいわば特権階級までのものだったものが、江戸時代に泰平の世が訪れたことで町人にまで波及。そして日本の工芸の技は様々な革新を遂げます。木版技術が発展し出版文化が生まれ、庶民の識字率は世界で最も高いものでした。雛形という現代でいうファッション雑誌に類するものが誕生し、世界に魁けて流行という概念が生まれます。

 

「きもの展」の特徴は、技法や加飾表現が生まれた理由とその時代背景がみえるようになっているところ。

 

通常、小袖の展示は衣桁掛けされた後姿のみのことが多いですが、ガラスケースを中央におくことで、前姿もみることができるようになっている展示もあります。

 

豊富な資料と絵画展示によって着装姿もわかるように展示されているのが、モードを謳うだけのことはある。

 

着装姿であまり知られていないのは、安土桃山〜江戸時代の武家女性の夏の正装である腰巻でしょうか。
 
夏の小袖の麻地の帷子に絹の小袖を打ち掛けるには暑すぎる。そこで腰の位置で芯を入れて固くした提帯に小袖の袖をひっかけるようにして着装するようになりました。
 

左) 腰巻 黒紅練緯地梅椿花菱亀甲模様

中)提帯 萌黄白段格子源氏車藤牡丹模様錦
 
紀州徳川第十代治宝室貞恭院種姫所用 / 江戸時代 18世紀 東京国立博物館蔵
 
右)帷子 白麻地鷹狩風景「勧修寺縁起」模様 紀州徳川家伝来 / 江戸時代19世紀 奈良県立美術館蔵
 

着装の前姿と後姿の写真も展示されているのはわかりやすくて良い♡

 
風景模様に刺繍で鷹狩りを現す。
徳川家の女性の中では流行っていたのかも。

 

振袖 紫縮緬地鷹狩模様 会津松平家伝来 / 江戸時代 19世紀 国立歴史民俗博物館蔵

 

内覧会での撮影は展示風景をご紹介するものなので、展示風景にあわせて、テーマとともに技法と加飾表現が生まれた背景をボチボチとご紹介していきたいと思います。

 

つづく!

 

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特別展「きもの KIMONO」展 が 東京国立博物館平成館にて開催中

 

前期 6月30日(火)〜7月26日(日)

後期 7月28日(火)〜8月23日(日)

入場は感染症予防拡散防止対策のためオンラインによる事前予約制となっています。

 
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※展示会場内での撮影及び「きものカンタービレ♪」への掲載の特別な許可を主催者よりいただいております。

 

 

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