着物は洋装と比べたら、着付けは手間がかかり、着脱も困難、動きやすいとは言い難く、機能的なものでもありません。
脱いだら洗濯機へポイとできるものは少なく、メンテナンスにもコストがかかります。
ですが…、一反の布に施された染めと織りを「着物」として着る和装には、洋装からは決して得られることのできない大きな魅力があります。
最大の特徴は形が決まっていることです。
洋服のようなパターンによる流行はなく、1反の布を8つに平面裁断して仕立てます。
決まった形の中で、着物と帯そして小物のコーディネートで無限のバリエーションを楽しむ、そこには知識と教養、そして遊び心が見え隠れします。
時代背景や物語性がある意匠、祈りと願いが込められた吉祥文様、そして四季がある国ならではの、季節の花と色を纏い移ろう四季を謳歌する喜び。
礼装に求められる「格」も室礼とおもてなしの心を重んじる日本人ならではの感覚です。
知れば知るほど知りたくなる、着物の魅力とその奥深さ!
自分が纏っている布の糸1本も命あるものからいただいたものであり、誰かの手によってつなげられて織られている。
命あるものから糸をいただくこと、そして美しい布にするための人の英知と熟練の技から生まれる手仕事ならではの風合い。
これを最大限に生かせるものは「着物」である。
そして着てみてこそのものであると思っています。