ずいぶんと前のことですが、ある着物屋さんから「この着物なら誰にも負けませんよ!」という売り文句を言われブチ切れそうになったことがあります。

 

着物に勝ちも負けもありません。

 

購入するかどうかは、その着物が好きか、似合うか、着る用途があるか、手持ちのものとコーディネートできるか、そして資金があるか、です。

 

着物に限らず、装いにはその場に相応しいものと相応しくないないもの、ドレスコードやTPOはありますが、勝ち負けなんてありません。

 

誰かに負けたくないから着物を着ているわけではない。

 

自分にとっても心地良いもの、好きなもの、愛するものを身に纏いたいから着ています。

 

こうした売り文句、「着物を着ることがステータスの象徴」のような思考からきているような気がしてならないのです。

 

 

 

「着物上級者の方が…」とか「着物上級者の集まり…」などもよく耳にする言葉ですが、そもそも日本人が着物を着ることに上級者も初心者もないと思っています。

 

強いて言うならば、着物を着慣れているかいないか、くらいのもの。

好みもセンスも体感も人それぞれです。

 

何事にも、好きなものを究めようとするオタクやマニア、それを生業とするプロはいますが、「上級者」という言い回しにはとても違和感があります。そして自称着物上級者にありがちな、自分の主観を押しつける言動や人様を批評するような集まりも苦手…(x_x;)

 

 

着物を特別視したことで、決まり事にとらわれたり、楽しむところと別次元の何かにとらわれることがもったいないというか面倒くさいというか…。

 

 

やはり、着物を着ることが日本人にとって習い事になってしまったからでしょうか。

 

大雑把にいってしまうと、日本人が着付けを習うのは日本人が英語を習うのに似ている気がします。習ったものと暮らしの中で身についたものは違うというか。

 

語学力も習うより慣れろ、着付けも習うより慣れろです。

 

…とはいえ、ワタクシに語学力は皆無。

海外でも着物に助けられている気がいたします。