蒸し暑い日本を涼やかに。

藍に白が視覚に与えてくれる涼感は日本人の智恵だと思う。

 

「ゆかた 浴衣 YUKATA 〜涼しさのデザイン、いまむかし〜」が泉屋博古館分館にて開催中(〜7月7日まで)

 

浴衣(ゆかた)は元々は身分の高い方が沐浴(蒸し風呂)の際に着用した麻地の帷子の湯帷子が語源となっています。江戸時代になって国産での綿花栽培ができるようになると、木綿の浴衣が急速に普及します。

 

庶民が風呂屋をつかうようになると、湯上がりに着替えて着るものとなり、さらに家の中でのくつろぎ着となっていきました。祭礼では踊りの衣裳ともなり現在の用途に近くなっていきます。

 

そして今は服飾史でいうところの、下着であった小袖が着物となった形式昇格のように、浴衣がワンピース感覚のおしゃれ着となりつつあります。

 

●第二展示室で紹介されていた、老舗がつくる現代の浴衣●

 

左◇紺絹紅梅地水玉波模様絵羽浴衣 / 竺仙

右◇ベージュ木綿麻地源氏香模様浴衣 / 誉田屋 十代目山口源兵衛

 

鎧下着や寝間着、湯帷子としての用途であったゆえに消耗品であり、現存するものは極めて少ないです。退色を防ぐため展示期間も短め。この展覧会も前期と後期でガラッと展示替えをするそうです。

 

 

●浴衣の原点である鎧下着の帷子●

 

手前◇白麻地葵紋散らし模様浴衣 / 江戸時代17世紀後半 / 江戸東京博物館蔵

水戸徳川家分家筋に伝来した甲冑に付随していた鎧下着の浴衣。

 

奥◇白麻地立涌三星梶葉模様浴衣 / 江戸時代19世紀 / 松坂屋コレクション Jフロントリティリング史料館蔵

肥前松浦家伝来。三つ星と立ち梶の葉は松浦家の家紋。筒袖の形状が珍しい。

 

●麻地から木綿地へ●

 

「諸国おんひいながた」にもある構図の浴衣。藍染めで紅葉と筏、アクセントに褐色の顔料。

白麻地紅葉筏模様浴衣 / 18世紀

 

能「石橋」を連想させる文芸意匠。作品の主題やモチーフを配し教養を表す意匠は武家女性の小袖に見られますが、町人女性の小袖や浴衣にも出現することに。女性は公的な場所へでることがないので男性と比べると比較的自由だったとか。

 

白麻地石橋模様浴衣 / 江戸時代18世紀後半 / 江戸東京博物館蔵

 

模様は江戸時代中期からみられる大柄の構図

白木綿地檜扇橘模様浴衣 / 江戸時代 19世紀後半 / 奈良国立博物館蔵

 

●型染めの浴衣●

 

ものすごくザックリと大まかにいってしまうと、染色の技法には浸染と捺染があります。

 

そして、伊勢型紙をつかったものでは、浸染は長板中形、捺染は江戸小紋。

 

型染めの見本裂地をつかった胴着 / 明治時代19世紀後半

 

撮影不可の展示室には、精巧な有松絞りがありました。

時代を経ても、やっぱり日本の夏には、藍の浴衣がいいわ〜♡

 

※展示場内の撮影及び「きものカンタービレ♪」への掲載の許可をいただいております。

 

ゆかたでの来場割引ありです♪

 

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