令和を目前にし、皇室への愛慕と畏敬の念が深まり、皇室関連のさまざまな展覧会へと多くの人が吸い寄せられています。もちろんワタクシもそのひとり。
その中で、泉屋博古館分館にて開催中の「明治150年記念 華ひらく皇室文化―明治宮廷を彩る技と美―」展 (〜 5月10日まで) の内覧会へ♪
明治元年から150年を迎えたことを記念して、明治維新から皇室が支えた文化の功績、そして明治宮廷を彩った美術と工芸を広く紹介するために企画され、2018年の春から、名古屋、秋田、京都と巡回し、平成の最後に東京で幕を閉じます。
日本人にとって大変革であった明治維新。開国後、多くのアジア諸国のように西洋諸国列強の植民地とならずに独立国家として歩むため、明治政府が行なった政策は、文明開化、富国強兵、そして殖産興業。
西欧諸国との外交政策として、皇室は率先して洋装化をすることになっていきます。
昭憲皇太后は1887年(明治20年)に洋服を奨励する思召書をだされていますが、その中で洋服の素材についてはなるべく日本産のものをつかうよう呼びかけ洋服の着用が殖産興業の成長と国益になるよう説かれています。そして、宮廷服となるドレスのレーンは五衣唐衣裳の裳に似ていること上下二部式であることが宮廷服として受け入れやすかったということもあるようです。
北白川妃房子着用の中礼服
よくみると昭憲皇太后の大礼服のスカート部分と同じものでつくられています。
皇室外交は、海外からの賓客をおもてなしすること。それには、国際的なプロトコールに準じることが必要とされ、それは服装だけでなく、建物そして食器にまでいたります。
たとえば明治初期につくられた洋食器へ花鳥図の絵付けはそれはそれは見事なものですがその形は微妙なものだったり。西洋文明へ挑戦した職人の軌跡をみることができます。
残念ながら内覧会で撮影が許可されたスペースはわずか。
ミキモトが製作した棗
明治維新で衰退していった日本の美術工芸を奨励するため皇室の保護のもとに「帝室技芸員」制度がつくられます。明治宮廷を彩った技と美もみどころです。
染織好きならば絶対に見逃せないものも出展されています。
明治期は近代化と輸出品目育成を目的とした内国勧業博覧会や万国博覧会が盛んであり世界最高峰の染織の技を世界中に知らしめることになります。
千總(12代西村總左衛門) 「天鵞絨友禅嵐図壁掛け」
鷲の羽の光沢感が天鵞絨によって表現されています。
川島織物(2代川島甚兵衛) 「猟犬図」
ゴブラン織を意識し羊毛糸をつかうことで油絵のような表現に成功した綴織と刺綴です。
平成から令和を迎え、そして産業革命以来のIT革命の中、時代の変革期にどう技と美を継承していくのか。この展覧会はひとつの鍵となっているように思います。
学習院大学史料館での展示と共催になっていますので、近日中にはそちらも♪
※会場内での写真は内覧会で許可されているところで撮影したものです。
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