その後に工房で織っている現場をみせていただきました。
「すくい織」と「綴織」の違い。
これは着物業界の中でも定義が違うようで、混乱しがち。
すくい織は広義でいえば綴織のひとつ。下絵にあわせて柄を確認しながら、織り手が経糸をすくって色糸を通して文様を織りだします。
金銀糸をつかったものを綴織、紬糸をつかったものをすくい織、としているところもあるようですが、まこと織物のすくい織は、緯糸を一様に通すのではなく緯糸を通す角度と力加減の技で描くように織っていくのが特徴。細い糸をつかうことで綴織よりもさらに絵画的表現を可能としているとのこと。
緯糸は柄にあわせて右から左へ、左から右へと移動するので表裏がない織物となります。裏面を整理すれば鏡面のように左右は逆になりますが裏面もつかうことが可能。(ちなみに、綴織を織機で織ると経糸を隠すように同方向から織られるために糸が渡っています)
織っているときは、裏面がでています。
こちらは、まこと織物の「よろけすくい」
この織機には筬がなくて独自の筬框で緯糸を掻き寄せると同時に経糸を左右に絡めるように動かして織った変り織り。この技法は、まこと織物の特許なのだそう。よって撮影は禁止なので織っているところは脳内メモリー。
こちらは「よろけ織」の着尺。
糸を絡めているからか絹の光沢が活かされていて美しい…。
よろけ織でつくられたというジャケットをみせていただいたのですが、素晴しく上品で美しいものでした。祝賀会でお召しになられる…ということで楽しみにしていたのですが、てんやわんやでお会いできず残念。
まこと織物のよろけ織。
着物の着尺にこだわるよりも、テキスタイル生地としての将来性を感じました!
工房見学レポ、つづきます。