「扇の国 日本」がサントリー美術館にて開催中(〜 1月20日まで)

 

あまり知られていませんが、扇の発祥の地は日本。

 

団扇や屛風など、多くのものは大陸の向こう側で生まれ日本へやってきたものですが、扇は日本で考案されつくられました。10世紀末には日本からの特産品として大陸へと送られています。

 

日本では、扇はただ扇ぐものではなく、祭祀や儀礼など用途によってつかいわけられ、コンパクトに畳めることから身につけやすくとても身近なものであったと思われます。そして消耗品ゆえに現存するものは少なく最も失われた絵画です。

 

和歌や絵画が施され末広がりの形状を持つ美しい扇は縁起の良いものであり引き出物などの贈答品としても流通しました。

 

江戸時代には扇を売る扇屋があり、店鋪だけでなく扇を売り歩く扇売りや地紙売りといわれる行商人もいました。扇の地紙をその場で折って季節によって差し替えていたのです。それだけ扇が身近なファッションアイテムであったということです。

 

ちなみに、友禅染の考案者といわれていた宮崎友禅斎は扇絵師。この話は別記事でまとめることにします。

 

扇面のデザインは手で持てる小さい面積ですが小袖は大きい面積。扇面を散らすことで小袖も意匠として散らし模様や尽くし模様が生まれます。このあたりも「友禅斎と友禅染」が曲解して伝承された要因。

 

今展示会では、日本文化の象徴としての扇、そして扇と扇絵だけでなく、扇流しといった慣習、その形状から生まれた文様や意匠にも着目しています。

 

ワタクシは日常着でも外出する際には、必ず茶扇子を身につけています。「なぜいつも扇子を身につけているのか」とご質問をいただいたことがありますが、挨拶で扇子をつかう習慣があるかどうかだと思います。

 

日本で生まれ、独自の文化を持つ「扇」の世界。
消耗品であるがゆえに、儚く、そして深いです!

 

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