今宵は満月。
〜 かの町の 野にもとめ見し 夕すげの 月の色して 咲きゐたりしが 〜
美智子皇后陛下がお詠みになられたお歌です。
かの町とは、天皇皇后両陛下の出会いの地となった軽井沢のこと。
夏が終わりを告げる頃、軽井沢にゆうすげの花が咲きます。
ほのかな黄色は「月の色」
軽井沢では、浅間キスゲとよばれています。
夕方に花開き朝になると萎みます。
本当に月の色を写したかのような花ですね。
軽井沢は避暑地として有名ではあっても、昔はアクセスが悪いことからひっそりとした町だったのですが、高速道路と北陸新幹線の開通によって過度な土地開発がすすみ、以前の趣はなくなりつつあります。
ゆうすげの花も少なくなっていたのですが…、今はみることができます。
1979年に軽井沢町から宮内庁へゆうすげの種が寄贈されました。そして時を経て…、開発によって軽井沢の町から少なくなってしまう、ゆうすげの花を惜しまれた天皇皇后両陛下のご意向よって、皇居で育てられたゆうすげから種が採取され、軽井沢の町にご下賜されました。今は里帰りしたゆうすげの花が、町のあちこちで咲いています。