2018年の夏、平成最後の夏となります。

 

2019年4月30日には「退位礼正殿の儀」があり、今上天皇陛下の譲位が行なわれます。

 

5月1日は「剣璽等承継の儀」「朝見の儀」、10月22日に「即位礼正殿の儀」、そして11月14日〜15日に「大嘗祭」の中心行事である「大嘗宮の儀」が行われます。新天皇の4つの儀式を「即位の大礼」といいます。このうち大嘗祭は国事行為ではなく皇室伝統行事です。

 

天皇即位後のはじめての新嘗祭を大嘗祭といいます。天皇が行なう収穫祭のことであり、その年にとれた五穀を天神地祇に供え天皇自らも食し神の恵みを感謝する宮中祭祀。ほか皇位継承の秘技が行なわれます。

 

大嘗祭の大嘗宮の儀は悠紀殿と主基殿がつくられます。

平成の大嘗宮は建築会社5社が共同で請け負い、祭祀が終わると解体されました。

※写真は木材を提供した方の撮影によるもの

 

大嘗祭の悠紀殿と主基殿の神殿に供える稲を出す斎田を選ぶため、悠紀と主基の国・郡を卜定(ぼくじょう)します。卜定(ぼくじょう)は占のこと。悠紀は東日本、主基は西日本から選ばれるとされ、平成は秋田県、大分県から選ばれています。斎田所有者は非公開。

 

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そして、悠紀殿と主基殿の神座東側に神御衣(かんみそ)として祀られる布が「麁服(あらたえ)」と「繪服(にぎたえ)」です。

 

阿波忌部氏直系の麁服奉仕者の御殿人である三木信夫さんの講演会がありました。

 

麁服は、大嘗祭のときに阿波国忌部氏直系の子孫の御殿人(みあらかんど)が調製を総括し供納する大麻織物のこと。麁服の調整を総括、管理し、大嘗祭に大嘗宮の神座へ供納する身分の人を御殿人、麁服を調整する人を御衣人(みぞひと)といいます。調進とは皇室から依頼されたものを調整して届けること。細目籠にいれて宮中に収める。

 

麁服調進の供納フロー、阿波忌部氏とは、大麻栽培についてなどのお話がありました。

 

以下、口頭の覚書です。

 

<麁服(あらたえ)>

阿良多倍(古語、神話)

麁布(古語拾遺)

荒妙(公家日記)

麁妙(延喜式)

荒妙(官宣旨、太政官符)

麁服(延喜式)

 

<麁服にする大麻の育つ風土>

海抜500〜700m(気温3〜5℃低め)

西陽があたらない

朝霧に覆われる

霧雨、雹の少ない場所、風雨が強くない場所

土壌は砂地より有機質に富んだ排水の良い壌土(ph6)

茎が大人の小指くらいの太さ以上に太らない

連作はできないので一定の栽培地域がある場所

麁服になる大麻の精麻

 

来年は元号が変わります。

そして再来年は東京オリンピック。

時代の変遷とともに染織はどのような形で伝承されていくのか、興味は尽きません。

 

古代織連絡会の2016年晩秋 阿波染織の旅でも学びました。


阿波の山川地域総合センターに展示されていた平成の大嘗祭に調進された麁服。

大嘗祭でつかわれる麁服は使用後には焼かれるのだそう。



 

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