麻問屋の麻光さんの主催による「大麻の伝統を守り伝える」講演会がありました。

 

今の日本で「大麻」というと、とてもネガティブな、聞いてはいけないもののような反応をされますが、古来から日本で栽培されてきた大麻草は麻薬成分をほとんど含まず、戦前までは、漁網や釣り糸、自家用の衣類や縄などにもつくられつかわれていました。

 

何よりも日本人にとっての大麻は、古の時代から神仏事に欠かせないものであり、布といえば麻であった時代、大麻は生活とともにあったといわれています。

 

神社の注連縄、祓串、横綱の注連縄、そして家庭でも使われる注連縄には、大麻草の茎の靭皮繊維から取られた精麻がつかわれています。

 

麻光さんは創業100年の国産最高品質の精麻を取り扱う麻問屋さんです。

 

三代目の江藤富士江さんと。

富士江さんのお召しになられている小紋は麻の葉模様。大麻は成長が早く真っすぐ伸びることから、麻の葉は子供の成長を願う文様としてつかわれます。

 

戦後に大麻取締法が制定され日本では大麻草の栽培が禁止され、現在では一部の農家での許可制となっています。そして日本の大麻草の繊維としての使用目的とは違ったつかい方や間違った認識によるさまざまな問題によって、日本人にとっての大麻の伝統は危機に瀕している状況です。それをどう伝えていくか…。

 

一般社団法人 江戸消防記念会の皆様による「ご祝儀木遣り」とお話。

会場の室礼は鳶職の方々によるもの。鳶職は建築業の方が多く、注連縄づくりや飾りもされるのだそうです。

 

麻農家の7代目で日本麻振興会理事長の大森由久さんによる大麻栽培と精麻づくりのお話。阿波歴史研究家の須恵泰正さんによる阿波忌部と麻についての地理学的考察。そして、阿波忌部直系の第28代目当主の三木信夫さんによる「麁服」のお話がありました。

 

非公開の講演会ということなので、詳細な内容はご紹介できないのですが…、今まで自分が学んだこと、聞き及んでいたこと、調べたこと、いくつかの点がつながった、とても充実した講演会でした。

 

今回お聞きしたお話も折りをみてご紹介できればと思いますが…、時勢をみてということになるでしょうか。

 

とかく、大麻に関しては、妄想と誤解が激しい…。

 

日本人にとって身近な繊維であった大麻が、日本人にとって神社が人生行事と深くかかわりを持つように、初詣へいくように、自然と寄り添う形で伝承されていくことを願わずにはいられません。

 

いただいた精麻と大麻糸の生成りと茜染。

日本の大麻は精麻という神道で浄めにつかったという特質から大麻が繊維としてもつ輝きを活かしたレッティング(繊維を取り出すこと)がされます。ワタクシ的にはこれが日本人の身近にあったことが、日本人の大切なものであったのではないか…常々感じているのです。

 

 

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