浅草の東京都立産業貿易センター台東館にて開催中の「第56回 染芸展」へ♪

 

東京都工芸染色協同組合主催による東京手描き友禅のコンクールです。作家の先生方も会場にいらしているので、直接作品についてのお話をお聞きすることができるのが何よりも魅力。価格が表示されているものもありますが、販売会ではありませんので、この先のお誂えや購入を考える目安にもなります。

 

東京友禅は京友禅と加賀友禅と共に三大友禅のひとつ。古典的な雅やかさではなく、渋く抑えた色調、金彩はほとんどなく、洗練された意匠と高い技術力、の絵画的な作風が特徴。染芸展の作品は作家の個性が強く打ちだされているのが特徴。伝統工芸展にはない技法の併用もみることができます。

 

伝統工芸展では友禅なら友禅の技法がトコトン特化されたもの、染芸展は技法の併用、例えば友禅に型染めを少しつかうとか、臈纈による堰きだしや一珍糊とか墨流しとか、自由な感じでしょうか。

 

高橋孝之さん

細かい技術を駆使した技ものと、その場の勢い!?のような感覚的な作品と、どちらもお得意。流れるような動きある線は一珍糊で、地色の藍濃淡は刷毛で描いたもの。二度とはつくれない感覚的な作品です。

 

佐藤さとみさん

高橋さんの線書きの技を引き継いだ線がちょうど隠れてしまっていますが、古典的な要素にも師匠から受け継いだ技が活かされています。

 

親子で師弟

右)小倉貞右さん と 左)小倉隆さん

貞右さんの作品は珍しく柔らかく暖かい地色に写実的な辛夷の枝花。春霞のような暈しが入るのが小倉家らしい。

隆司さんの宝尽くしの古典柄にも霞みのような暈しがあります。

フォンテーヌブロー銘さた帯はイギリス王朝所蔵だった絵皿をモチーフにしたもの。

 

こちらも親子で師弟。

左)森川雄大さん と 右)森川明洋さん

臈纈の堰きだしによる絵画的表現がつかわれた帯に目がとまってお声がけしてしまいました。糸目と臈纈染をつかった併用の技を駆使した作品。明洋さんのイマジンワンワールドのデンマークの振袖の技はここから来ているのか…とここで知る。

 

小倉悟さん

実際に着用されて着心地や着姿にこだわった作品づくりをされています。衣桁にかかった菊花模様は着装するとカッコイイ仕立てを意識された意匠図案。地色の深みはこだわりの五枚繻子地ならではのもの。

 

大橋さやかさん

平和の象徴であるオリーブの枝と実が片身替わりのような地色の境目が葉っぱのシルエットになっているのが、生駒さんの流れを感じる。

 

水橋さおりさん

訪問着に描かれた雀はリアルでなくメルヘンを感じますが、1羽1羽に表情があるのが可愛い♡。帯に描かれた犬も犬種も様々でそれぞれも表情が違う、でもまとまっているのが素晴しい意匠バランス。

 

町田久美子さん

擬人化?された金魚と猫の盆踊りの帯が面白い。作品にお人柄もあらわれているような茶目っ気があります。

 

佐藤洋宜さん

蛇の目傘に桜、枝先の停まる雀、意匠構成のつくり方がワタクシ好み。着装するとより映えると思います♡

 

岩間奨さん

丁寧な技が優しい色の中ではっきり生きているのを感じる作品。桜の樹シルエットの部分は着装すると下前の脇にチラッとみえるはずですがそれがまた素敵♡

 

分業制ではなく、作家が一通りこなすことによって打ちだされる個性、そしてその技から、師弟だったり血縁だったり、系統もみえたりして、そういうところを探ってみても面白いですね〜。

 

※会場内での撮影及び「きものカンタービレ♪」への掲載許可を主催者さまよりいただいております。

 

 

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