人の生活に必要なもの「衣食住」
この世の中の生物の中で、人だけが衣を必要とし、身体を守るため、自己表現のため、染織の技を生みだし発展させていきました。

古代の染織には、今の技術をもってしてもつくりだすのが困難な細い糸や技があります。それは偶然の産物から派生したものだったりするのです。そうしたものと、途方もない時間と労力をかけてつくりだしたものがあって、まこと奥深く興味が尽きません。

染織室の展示は 「書跡-古代インドと日本の古経典- • 染織-さまざまな染織の技法-」(〜8月6日まで)

 

飛鳥〜奈良時代の染織品。織の技法(平絹、綾、経錦、緯錦、風通、経絣)の文様表現と、それに纐纈、摺絵といった二次的加飾による文様表現のものが展示されています。

 

●茶地花卉鳥文摺絵平絹

木版に墨で摺だしたものが今もクッキリ残っています。正倉院に所蔵されている法隆寺裂のものの断片と合わせると、向かい合う鳥と草花があるのがわかるのだそう。

 

●赤地広東裂

経絣は法隆寺の幡や褥に見られますが正倉院裂ではみられません。経絣は前漢時代のもので、唐の時代に緯錦が完成し織られるようになると経絣は織られなくなったともいわれます。経絣文様を織りだすための色糸の整経が困難なのです。

 

●綾(あや)

綾織は織物三原組織の一つ。平織は経糸と緯糸が一本毎に交互に交差しますが、綾は規則的に糸を織飛ばし文様表現としたもの。経糸が緯糸3本をまたぐ、緯糸1本下を通って、緯糸3本をまたぐ、といった織り方。糸の交差点が斜めに走ります。平織よりも伸縮性がありしなやかに織りあがるのが特徴。元々は糸が飛んでしまったという間違いから派生。その後、技巧的につかわれています。

「綾」という文字は、物の表面に現れたさまざまな形や模様、入り組んだ表現、複雑でわからないもの、など含みのあるニュアンスとつかわれるようになりました。「綾」は「言葉の綾」の語源でもあります。糸偏の漢字の意味を探ると色々わかって面白い。

 

綾織は、正面からより斜め上横位置からのほうが、地紋がハッキリとわかりました。悠久の時を経て現れた、織りで表した文様表現をみることができます。

 

●黄地双鳥二重連珠円文綾

 

●淡茶地葡萄唐草文綾幡足

 

そして、綾の絹織物をつかった二次的加飾の染織品のレクチャーにつづきます。

 

※東京国立博物館法隆寺宝物館では一般にも撮影が許可されています。ただしマナーとしてフラッシュはつかわない、シャッター音は控えるといったことを守りましょう。

 

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