「紙布 ー桜井貞子展ー」が「紙の博物館」にて開催中(〜 6月4日まで)

 

桜井貞子さん、妹尾直子さん、型彫師の増井一平さんとカメラ

桜井先生のこの日の帯は藍染めの紙布の着物に「早苗」の紙布に型染めの帯。帯の型紙は吉岡常雄コレクションから型彫師の増井一平さんが復元。染めは江戸小紋の小宮康正さんによるもの。

 

この日は、桜井貞子さんと西ノ内和紙の菊地正気さんの講演と妹尾直子さんによる紙布の糸づくりの実演がありました。

 

西ノ内和紙は那須楮をつかった紙漉きでつくられる江戸時代に水戸藩に奨励された特産物。水戸光圀が編纂した「大日本史」も西ノ内和紙です。

 

楮から繊維を取り出して、手で紙を漉いて和紙をつくるということだけでも手間がかかるのに、それから糸にするというのは、何て大変なんだろう…。と思っていたのですが、実はこの糸づくりをみて、美しい糸をつくるために考え抜かれたものじゃないか!と見方が変わりました。

 

【紙布の糸づくり】

紙布用の和紙を4枚に重ねて半分に折り、手でもっている端は3cmぐらい残してまた半分に折返す。

2mmもしくは3mmに決めて均等にカッターで切り込みをいれる。紙の両端には切り込は入れず残す。2mmか3mmかで糸の太さが決まります。

切れ目が入った和紙の状態

濡れたタオルで和紙を湿らせる。コレが糸づくりのポイントなのだそう。

ブロッグなどの表面がざらっとした外壁材の上に紙を広げて

つまんでいって


紙がくっつかないようにしながら、転がして揉んで撚りをかけていく。この作業で紙の質がよくわかり、良いものは経糸にもつかうことができるし、何につかったらいいのかも判断できるのだそう。

すると円筒形の丸い糸状になります

和紙なのでこの繫がっている上部(この写真では左側)を2本ずつ残るようにちぎって切り離します

つながっているところを撚って糸にします

離れているものをくっつけるのではないので、繫ぎ目をただ撚っていく。機結びによる結び目もなく、撚りつなぎによる2本重ねた太さでもなく、これは実は合理的なんじゃないかな!と見方をあらためました。

糸績みが終わったら糸車で撚りをかけます

 

すると、こんなにも美しい糸ができるのです

 

徳島の太布、小千谷の楮布、大福帳からつくられた紙布、と帯としての着用経験があるのですが、締心地が良いなと思ったのは、大福帳からつくられた紙布でした。締心地というか、帯結びが折り紙のようで、まさに紙だと。

 

なので、紙布用の和紙からつくられた紙布はどんななんだろう…と、好奇心が( ̄▽+ ̄*)
私が着用しているのは、経糸は木綿糸、緯糸は紙糸の綿紙布の藍染めの半纏。着心地を確かめるために「木の文化塾」の方からお借りしました♪ とても軽くて暖かい!水洗いも大丈夫だそうです。木綿のようでありながら木綿よりも軽い〜。

 

この作品展は前期と後期で作品が入れ替わっています。

 

桜井貞子◇絹紙布「格子着尺」

経糸は絹、緯糸は紙糸。染料はインド藍、小鮒草、カテキュー。

 

妹尾直子◇絹紙布「朝凪」

経糸は絹、緯糸は紙糸。染料は琉球藍と福木。織の技法は花織

 

梶山和世さんとカメラ とても私好みの藍の絣の紙布をつくっていらっしゃいました♡

梶山和代◇絹紙布

経糸は絹、緯糸は紙糸。染料は藍と渋木。

 

私が妹尾直子さんと出会ったのは、沖縄でのこと。

ぬぬパナ主宰の浦令子さんの沖縄の家に住んでいらして、ペーパードライバーの私を各工房へ案内してくださいました。東京のぬぬパナ展ではお布団ならべて夜通しお話したり。

 

和紙に魅せられて紙漉きを学び、沖縄で織物を学び、出会うべくして出会った紙布づくり。こうしたものに出会えるって人として本当に幸せだと思う。熱意と技がしっかりと伝承していくのをみることができて感動しました:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

 

そして、それを纏うことができるのも幸せなのです♡

そういった着物エンドユーザーでありたいですね♪

 

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