是非みていただきたいと思う展覧会をご紹介します。

 

紙の博物館にて開催中の「紙布 ー 桜井貞子展 ー」(〜 6月4日まで)

驚くなかれ、これらは紙を裁断してよって糸にし織りあげた紙布の着物です。糸、染料、織の技法、スペック表記も完璧!

 

桜井貞子さんの紙布製作40周年を記念しての作品展。紙布という素材だけでも興味津々でしたが、それよりも美しい染織品としての完成度に驚きました(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)

 

紙を糸にして草木染めで染める。そんなことをして糸が溶けないのかしら…と思ったのですが、和紙も楮や三椏からできる植物繊維、そして良質の和紙からつくられる糸は丈夫なのだそうです。

 

桜井貞子◇絹紙布風通絣紅梅織着物「満つる春」

経糸は絹、緯糸は紙糸。染料は西洋茜。織の技法は風通絣織りと綾織り。

 

桜井貞子◇絹紙布着物「春の小川」

経糸は絹、緯糸は紙糸。染料は月桃。織の技法は花織。

 

桜井貞子◇諸紙布風通絣帯「竹垣花文」

経糸、緯糸共に紙糸。染料は藍。織の技法は風通絣織。

 

真ん中が桜井貞子さん。左はお弟子さんの妹尾直子さん。

紙布は江戸時代に白石藩片倉家により奨励されつくられ幕府への献上品でもありました。桜井貞子さんは紙布と出会ってこの伝統を残すために和紙にもこだわりつづけて紙布づくりをされてきた方です。紙布を学ぶために片倉家を訪ね資料を譲り受け、試行錯誤で今日まで製作されてきたのだそう。

 

妹尾直子さんは福井県で手漉き和紙の紙漉きを学びその後那覇で首里織をされていました。そして今は桜井貞子さんのお弟子さんとして紙布製作に励まれています。第62回日本伝統工芸展に入選。

 

こちらは妹尾直子さんの作品。手漉き和紙を学んだことと沖縄で身につけた技を生かして素晴らしい作品をつくっています。

 

妹尾直子◇絹紙布網目織着物

経糸は絹、緯糸は紙糸。染料は月桃。織は網目織。白石紙布の製法を復元したもの。

 

さて、紙布ってどんな風合いなのか…?

裂地を触ることができます。諸紙布と経糸が木綿、絹の違いを感触で知ることができるのです!

 

日本人はとりわけ紙を愛してきた民族だと思います。受ける、包む、拭うといった懐紙を持ち歩き、言葉をつたえるだけでなく文字の美しさを表すための受け皿としてのこだわりもみられます。住居とした室内には和紙でつくられた障子があり襖があり、仕切りに屏風がつかわれるのも、柔らかい外との遮断というのでしょうか。そして、涼をとるための扇子、油を塗って防水加工することで傘にもつかわれています。こうして考えると日本人と紙と布はとても興味深いものです。

 

改めて、和紙の魅力に気がつきました。

後日開催された糸づくり実演レポへつづきます。

 

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