祇園祭(7月13日) 夜の山鉾巡り♪船鉾と岩木山の会所拝見 / 2016年祇園祭 その9  のつづきです。

きもの文化検定の工房見学会2日目は、川島織物セルコンの見学へ。
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祇園祭の勉強会に、こちらははずせないでしょう(-_☆)  川島織物本社は京都中心部から離れた洛北にあり、京都に来ていてもなかなか来ることができないのです。こちらには本社と工房、織物文化館、そして川島テキスタイルスクールが併設されています。

こちらへはこの装いで来たかった( ̄▽+ ̄*)
蛇籠に扇面に夏の草花文様の絽の小紋に川島織物の朝顔の夏唐織のなごや帯をコーディネート。

お茶会などセミフォーマルまで着用できる汎用性がある帯で気に入っております(〃∇〃)ドキドキ


川島織物は明治期から、祇園祭の懸装品の製作、復元新調をしています。1989年(平成元年)に京都府選定保存技術、山•鉾•屋台•懸装品等の保存団体に川島織物技術保存会が認定されました。

川島織物の美術工芸織物の緞帳製作は、明治26年(1893年)歌舞伎座(京都南座)の平安神宮大極殿の図の刺繍引幕に始まります。祇園祭の懸装品は、公開されている納入実績によると、明治期の放下鉾の水引と天井幕が最初のようです。

川島織物の広い工房では、緞帳が製作中でした(どこからの依頼かは非公開とのこと)。緞帳製作の工房は天井が高い吹き抜けになっていて、2階の回廊から現場を見ることができます。
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川島織物は意匠考案から糸染め、織りまでを一貫工程で仕上げます。それを生かし絵画特有の色調の綴織を製作。懸装品や緞帳など、1000色以上の色を染めてつかっても暈しの連続感が得られない場合、隣同士の色糸新しく組み合わせ撚り合わせて中間色をつくって織りだす割杢(わりもく)の技法をつかって立体感と臨場感ある絵画的な織りを生みだしています。

もうちょっと端的に説明すると、綴織はたくさんの色の撚り糸を緯糸につかうことができますが、それでも表現できない微妙な色は、現場で杢糸をつくって(同じ太さの違う色糸を2色以上で撚り合わせた糸)色の比率を変えグラデーションを表現するのが割杢の技法。

※参考までに、川島織物セルコン2016年製作の長刀鉾の<見送り> 伊藤若冲「旭日鳳凰図」


国内では最も古い企業博物館である、織物文化館へ目 
※現在、見学は予約制となっています。
初代川島甚兵衛、二代甚兵衛が世界各国から蒐集した、古代裂、名物裂やコプト裂などや装束、小袖、綴れ技法を駆使して織られた写実的ともいえる室内装飾画が所蔵されています。


祇園祭に関連して、川島織物の所蔵コレクションから、祇園祭の懸装品がつくられた同時代、同時期のものも比較展示されていました。(〜2016年7月31日まで)

国宝「洛中洛外図屏風(上杉本より祇園祭)」の右隻第三扇下部を綴織で製織した壁掛けと織り下絵は、1969年(昭和44年)に川島織物が製作。白楽天山・鶏鉾・岩戸山・船鉾が描かれているのがわかります。

※写真はプレスリリースより

16世紀ベルギーで製作されたゴブラン織のタペストリー「トロイ王プリアモスと将軍たち」、「パリスとメネラウスの妃へレネ」、17世紀中国で製作された綴錦の壁掛け「遊百子桃源文綴」なども展示。
ホメロスの叙情詩「イーリアス」を題材にしたタペストリーの現存するものは世界でも少なく貴重。

今年は、長刀鉾の<見送り>、伊藤若冲「旭日鳳凰図」を製作されていることもあり、隣接されている織物文化館では、「京絵師 伊藤若冲を世界へ」展も開催されています。(〜2017年4月28日)
綴織壁飾原画◇奥田瑞寛模写「老松孔雀図(動植綵絵)」

※写真はプレスリリースより

動く美術館といわれる、山鉾の懸装品。その源流を知ることができ、有意義な見学会でした♪
前にも何度か来ているのですが、目的をもって見るとまた違う…。そして展示も変わりますので、要チェックですね。いつか、川島テキスタイルスクールのワークショップに参加したい:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

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