Textile COCOONの西川はるえさん、シルバージュエリーデザイナーの勝山英恵さん、染織作家の原千絵さんによる「3人の手しごと展」が日本橋高島屋にて開催中(~6月28日まで) ※その後、横浜高島屋(7月6日~12日)へ巡回します。

左から、原千絵さん、西川はるえさん、木村孝先生、勝山英恵さんカメラ


孝先生とお会いすることができたので、ご一緒させていただきました。ひとつひとつの作品を丁寧にみてくださり「好きなことができる(つくれる)というのは本当に幸せなことよ」と何度も何度もおっしゃっていました。


ぬぬパナのつくり手でもある原千絵さん。
佐々木苑子先生に師事し、大塚テキスタイルデザイン専門学校で講師を務め、さらに大城廣四郎工房で琉球絣の技を取得、現在は郡上で織物をされています。ぬぬパナでも原さんの作品を拝見していますが、素人にはわからない高度な技をつかいながらも完成度も高い作品をつくられる方です。そしてマイクロスコープで見ると織の精密な揃いに驚きます(^_^;) ご一緒させていただいた八重山の旅はとても勉強になりました!

野蚕糸の自然の色をそのまま生かしたすくい織の帯。リボンのようにみえるのは生皮苧糸がつかわれています。この生皮苧の糸も自然のままの色。孝先生に「この織りは、またエラい手のかかることをしてはるな~、価格はこれでいいのん(安すぎじゃない?)」と評されておりました。いつも思うのですが、難しいところですね…。凝ったものは真面目につくられているものほどお安かったりするので。。。

裾濃の緑から黄色が美しい駒上布のきもの。琉球絣の技が生かされています。
近い将来、原さんにしかつくれないであろう私好みの絣着尺を織ってもらいたいな…:*:・( ̄∀ ̄)・:*:


Textile COCOONの西川はるえさん。
じつは前々からお会いしたいと思っていました! というのは、日本では今はほぼ織られていないイラクサの織物をつくられている方がいると、古代織産地連絡会の方からお聞きしていたから。


西川さんは喜如嘉の芭蕉布会館の伝承生出身。現在はネパールからイラクサ糸と大麻糸を取り寄せ、工房で草木染めをし、帯や小物をつくられています。

ネパール産のイラクサ糸。苧麻もイラクサ科ですので仲間ですが、ネパールのイラクサはアローというのだそうです。


アンデルセン童話「白鳥の王子」の中にイラクサの織物がでてきます。
呪いをかけられてしまった11人の兄を救うために、無言でイラクサの織物をするお姫さまのお話です。イラクサの布を織りあげるまでは口を聞いてはいけない、イラクサには棘があってイラクサ摘みでは血だらけになってしまう、糸をつくるために足でイラクサを踏むと傷だらけになってしまう、しかし織りあがった布で兄たちは呪縛から開放され白鳥から人間の姿になって、めでたしめでたし♪ (ひとりの王子は袖が間に合わず片手が翼のまま…という説もあり。アンデルセン童話って怖いところがあった気がする…)
この童話の影響なのか、棘のあるイラクサの繊維の織物というものに憧れを抱いております♪


このスピンドルで紡がれます。ネパールのマガール族の人が紡いでいる動画をみせていただきましたが(ありがとうございます!)、ろくろのように操っていました(@@;


ネパール産の大麻糸。日本の大麻糸は根と天を撚りつないで績んでつくりますが、ネパールでは紡ぐのだそう。糸にするときに叩くそうですが日本の大麻糸よりちょっと固めでザックリした印象。


ネパール産の大麻もイラクサもどちらの糸も素朴で野趣あふれるものですが、織りにくそう。アッツシに近い印象でした。苧麻や芭蕉と同じく乾燥には弱いのか、毛羽は立たないのか、染めやすいのか染めにくいのか、いろいろとお聞きしそびれました…(^_^;)

今回(というか新宿髙島屋の最終日)は、大麻の花緒をいただきました。焦茶か臙脂色系のザックリした台でぞうりをつくりたい。


シルバージュエリーデザイナーの勝山英恵さん

ご自身もきものがお好きとのことで、洒落た帯留をつくっていらっしゃいます。

孝先生は、シルバー細工の帯留を簪にオーダーされていらしゃいました。月にかかる瑞雲のイメージだそうです。なるほど。。。


今の時代「手しごとによるモノづくり」は好きでなければできません。そして製作できる環境が整うかどうかが難しいところです。孝先生がおっしゃるところの、<好きなことができる(つくれる)つくり手の作品>を着ることができたら、きもの好きとしてもより幸せだと思います。(「あんたはどこまでも前向きやな~」っとおっしゃってくださいましたが…^^;)
自分が着てみたいものは数限りなくたくさんありますが、そのすべてを購入することはできませんので、せめてその作品が、もとめられている誰かの眼に届くようにつながったら良いなと思っています。どんなに良いものも滞っていたら次の作品づくりにつながりませんし、それではこの先つくられていない…という事になりかねませんので。良いものが伝承していくことを願って「きものカンタービレ♪」をつづけていますドキドキ

「3人の手しごと展」それぞれの素材選びから個性が溢れる魅力的な作品展です。おすすめ!


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