美の壺file314「光を装う日傘」が、このところたてつづけに再放送されているようで(このひと月で4回目?)、たくさんのお問い合わせをいただいております。

出演したのは、弐のツボ「着物と日傘の不思議な相性」


それは美の壺のディレクターの方より「日傘をさす理由」についてご質問をいただき、「きものの色焼け防止のためですが、ファッションとしてきものに日傘はあうと思っています。」とお答えしたことからはじまりました。「そもそも日傘は洋傘(パラソル)で西洋のものが主流なのに、日本のきものにあう理由はなんだと思いますか?」とかなり具体的に突っ込まれ、あらためて「きものに日傘が似合う理由」と考察することになったのです。

江戸時代末期の開国後から日本の美術(浮世絵や型紙)が海外に大量に流出したことによって西洋で巻き起こるジャポニズムの流行。それと同時に日本の文明開化と西洋化によって生まれた日本独自の和洋折衷のファッション、男性のきものに山高帽や女性のきものに日傘のバランスの妙。西洋では日傘はあまりみられなくなっていきますが、日本の夏のきもの姿に日傘はファッションとして、さらに涼感を演出する「美」と定着したという面白さ。

西洋ではシャネルの出現により女性はコルセットから解放され、後に手足をだした装いが主流となります。するとパラソルは似合わない。頭上に布がある装いはバランスが悪いです。日本のきものは手足を隠し全身を布で覆うもの、そして帯をします。布が頭上にきても衣装が負けることなくバランスよく着こなせます。コルセットと帯という共に身体を締めるものに、頭上で開く傘がバランスが良いのも興味深いもの。 ファッションとして淘汰された結果、日傘は、西洋では実用性のみに、日本ではオシャレとして、さらに涼感を演出する美として残った。

というのが、朝香沙都子のザックリ私的見解でした。


美の壺でご紹介した日傘は、私が買いそろえたものですので、今はつくられていないものもあります。

黒地に絞りの麻地に桜の持ち手の日傘。「遊中川×前原光栄商店」


ブーゲンビリアの紅型の麻地にエゴの木の持ち手の日傘。「びんがた工房べにきち」


江戸小紋の両面染めのムガシルク地に楓の持ち手の日傘。「KOMON HIROSE」

外側は鮫小紋に雨縞、内側は貝文様の江戸小紋両面染め。
雨縞が日に透けると映り込んで波のようにみえる夏らしい日傘。


水玉に金魚文様の麻地にエゴの木の持ち手の日傘。「遊中川×前原光栄商店」


紫鉱染の葛布地の日傘。葛布は光沢があり光を通すと一層映えます。「大井川葛布」


日傘は纏うことでなく陽にかざすことで布の素材感を楽しむことができます。葛布の日傘は繊維がキラキラしてさしていてテンションがあがる逸品です♪

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