三越はじまって以来の早さで満席となったという(←大袈裟な表現だと思いますが…)、「きものカンタービレ♪×三越」日本の染と織 DVD鑑賞会&座談会が無事に終了いたしました。

お越し下さった皆さま、ありがとうございました。
満席でお申し込みができなかったという方々にも、興味をもっていただけたことに感謝いたします。

きものエンドユーザー側からの希望を組み入れて開催されたということが大きいと思います。
老舗百貨店には超顧客用の隔離された場所があります。そこへ、特撰売り場(三越はお買い場といいますが)にある超逸品のきものや帯、それにあわせる帯〆、帯あげを持ちこんで、シーンにあったコーディネートを考察するという贅沢な時間でした。

司会進行をしてくださったのは、三越伊勢丹呉服商品部逸品きものの敏腕バイヤーとして知られる浅子堅一郎さんです。


伊勢丹研究所が染色の技術の衰退を危惧して1960年代に16mmフィルムで染織の工程を撮影した「日本の染と織」の中から、「江戸小紋」と「西陣織」を抜粋して鑑賞いたしました。
伊勢型紙をつかった江戸小紋の工程。現在はないな~、と明らかにわかったのは、長い竹べらをつかった型付けぐらいでしょうか。江戸小紋は半世紀前の技を今も継承しつつ、さらに現代の感覚にあったものへと進化させていることがわかります。

大きな枠組みで「江戸小紋」といわれるもの中には、伊勢型紙をつかわない、シルクスクリーンやローラー捺染のものもあります。きものが着るものであるからには、大量生産の安価なものも必要ですし、それはそれで良いのですが、きちんと明示して売ってほしいと思います。その違いについて具体的に語ろうと思っていたのですが、日本橋三越の特選呉服売場にはシルクスクリーンやローラー捺染のものはそもそもないのでしたσ(^_^;)


江戸小紋という名称は1952年(昭和27年)に文化財保護委員会(今の文化庁)が故小宮康助氏を重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定するにあたって他の小紋染と区別するために命名したものです。

小宮家は江戸小紋の染めだけでなく、その道具となる型紙、型紙の材料となる美濃和紙の製作にも尽力します。古い型紙をつかうだけでなく、新しい型紙をつくらせてつかうことによって、型彫師を育てているのです。私的見解ではありますが、小宮康助、小宮康孝が重要無形文化財に認定された理由には、作品だけでなく、作品をつくっていくために必要なものを伝承するという、文化庁が人間国宝に求めている姿勢があるからではないかなっと思うのです。

染色堅牢度を高めるための研鑽、英国の服地につかわれる染料を取り入れる、染料に色止剤を入れ滲みを防ぐ、など、染料の改善もつとめてます。その結果として、色焼けしない江戸小紋となりました。 小宮家の江戸小紋は色が抜けないので紋入れは刺繍紋が基本だそうです。紋入れについては、新たな試みをしたので別記事でご紹介します!


DVD鑑賞会の後は、コーディネートを考える座談会。
初詣、新年のご挨拶、観劇、お茶会、卒入式、もちろん普段のオシャレ着としても、コーディネート次第で汎用性がありすぎるぐらい重宝する江戸小紋のシーン別のコーディネートを楽しみました。

北村武、細見巧、川島織物、龍村美術織物、最上、好みの逸品をここぞとばかりに用意していただきました:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

もっとお客様参加型にしたかったのですが、三越的な感覚で選びすぎてしまったかな…と反省。
しかし、DVDで半世紀前の工程を鑑賞した後に、今の逸品をじっくりコーディネートで楽しむという試みは、売る側と着る側の双方にとっても良かったのではないでしょうか…(^_^)v

ただ、私の足が動かないため、今ひとつ機動力に欠けたかしらん。
松葉杖で動くぐらいが大人しくていいのでは…ともいわれましたが←小宮先生に


さて、ご質問いただいた「江戸小紋に紋を入れるか入れないか…。」

つづきます(^-^)/

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