八丈島のジュラの森  べにきち「木立」の里帰り / 2015年初秋 八丈島の旅 その9 のつづき

黄八丈は八丈島に自生する植物で染色と媒染がされています。絣もありません。
それは、あるもので満足する「足るを知る」精神から。

めゆ工房のコブナグサの畑へ向かいます。

黄八丈の鮮やかな黄色は八丈島に自生するコブナグサ•小鮒草(八丈刈安)から染められます。

このコブナグサは古代中国では四川省の辺りで染色につかわれ、台湾を経由し黒潮の潮流に乗って八丈島に渡ってきたというのが山下誉先生の説。

昔は八丈島のあちこちでコブナグサの栽培がされていたそうですが、現在はフェニックス•ロベルニーという観葉植物農家になったところがほとんどなのだそう。
台風の影響で潮をかぶると塩害で草が茶色くなってしまうそうで、出来の悪い年は黄色は染めない!とキッパリとおっしゃっていらっしゃいました。


●黄染めの染色の工程●
コブナグサは1年草。春に種を蒔き穂がでてくる秋に刈り取ります。
コブナグサを乾燥させ銅の釜で煎じて染液をつくります。この染液を煎汁(フシ)といいます。

めゆ工房ではコブナグサの黄色染めには必ず銅の釜をつかうのがポイントひらめき電球
鉄釜は鉄分と植物のタンニンが結びついて色に濁りがでるのだそう。

樽に煎汁(フシ)を入れ糸を浸ける煎汁浸け(フシヅケ)→それを取り出して乾燥を17~20回くり返します。
煎汁は一度つかったものは捨て常に新しいものをつかいます。

媒染用の灰汁(アク)は榊と椿を葉ごと燃やした灰からつくられます。初夏の暑い日2日間かけてつくって置き、貯めておくのだそう。灰汁づけは灰と水を混ぜて上澄みをつかいます。灰汁に含まれるアルミナにより美しい山吹色になります。

煎汁浸けと乾燥をくり返した糸を媒染します。めゆ工房の糸は碓井製糸の新小石丸がつかわれています。

織りはすべて手織り。格子や縞の幅は緯糸の打ち込みの数ではなく型紙がつかわれます。
山下芙美子先生の機織りは快活で小気味良いリズムでした~♪


コブナグサの畑に向かう途中にみた、大自然の断崖絶壁と美しい海

染色につかわれる臭木

実からは媒染しなくても美しい水色がでるのだそうです。

芙蓉の花のような花が咲くオクラ。


絶海の孤島の大自然を大いに受けとめ、その中で、こだわりぬいて生みだされた美しい織物、それが黄八丈です。


めゆ工房の黄八丈

透明感のある色と自然の動きによって生まれる陰影が美しい~。

元気がでるような鮮やかな黄色です。


ちなみに黄八丈は江戸時代は同心が黒羽織の下に着流しで着ていたとされます。
ネットでつかえる画像がamazonのバナーぐらいだったので、参考までにこちらを。


蔦八丈と黒八丈は記事を改めます(^-^)/
黄八丈の歴史についてはこちら黄八丈を知る at 八丈島民俗資料館 / 2015年初秋 八丈島の旅 その5


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