日本画の世界には狩野派や土佐派がありますが、それは血縁関係を主軸とた家元制度のようなもの。狩野派は漢画を基盤とした武家に好まれた豪胆な作風、土佐派は大和絵を樹立した公家よりの繊細な作風。
対して「琳派」は血筋や家元制ではなく、同傾向の表現手法を引き継ぐ様式美をさしています。一門があってそこに入門して技を伝承していくのではなく、先人の描いた画の技に感化されて自らの作風に取り込んでいく、私淑(間接的に学び慕うこと)による繋がりです。

1615年(元和元年)に本阿弥光悦が徳川家康より京都鷹峯の地を拝領し、そこはさまざまな工芸や芸術の職人が移り住み芸術家の集落となりました。
光悦寺の紅葉と光悦垣もみじ
きものの文様としてもつかわれる光悦垣は一番上に太い竹を水平に置いて、その下に矢来状に組んだ竹で締める独特の工法の垣で臥牛垣(ねうしがき)ともいわれます。


それから400年ということで、今年はメモリアルイヤーとして、あっちでもこっちでも琳派琳派琳派…。
様々なところで琳派展が開催されています。

山種美術館は近代日本画の世界一の美術館。中でも琳派からの流れを汲んでいるもの多く、琳派特有の技法や琳派に通じる季節感を打ちだしている作品がずらり。
「琳派400年記念 琳派と秋の彩り」展が開催中です(~10月25日まで)

俵屋宗達(絵)本阿弥光悦(書) 「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」 ◇山種美術館蔵


琳派の技法の特徴のひとつが「たらしこみ」
はじめに描いた墨矢絵の具が乾かないうちに濃度の異なる墨や絵の具を加え濃淡の滲みや広がりを生かす技法。俵屋宗達がはじめてつかったといわれています。

左)俵屋宗達「鹿に月図」 中央)伝 俵屋宗達 「蓮池水禽図」 


生みの親といわれる宗達と近世の古径のたらしこみの違いを比べてみるのも面白い。

俵屋宗達「犬図」(部分)

小林古径「狗」 (部分) ◇個人蔵


琳派の画は、俵屋宗達→尾形光琳→酒井抱一→鈴木其一と時代が新しくなると共に、表現が固く、そして写実的になっていきます。山﨑妙子館長のお話の中で、太く刻んでいたものが鋭利な刃物で削ぐように変化していったとありました。←うろ覚えですが

酒井抱一「秋草鶉図」 ◇山種美術館蔵

勾勒(こうろく)法による花鳥画を得意とした北宋時代の画家の李安忠の影響を受けているというお話があった鶉。羽のホッコリとした質感まで繊細に描かれています。


酒井抱一「飛雪白鷺図」(部分) ◇山種美術館蔵


抱二は抱一の最晩年の弟子
田中抱二「萩兎図」 (部分)


鈴木其一「牡丹図」(部分) ◇山種美術館蔵


酒井鶯蒲「紅白蓮•白藤•夕もみぢ図」 ◇山種美術館蔵


今展覧会は抱一が充実♪
左)酒井抱一「飛雪白鷺図」 中央)酒井 抱一 「菊小禽図」 ◇共に山種美術館


琳派も良いですが、美術館で秋を楽しむのもまた良きかな。

奥田元宋「奥入瀬(秋)」 紅葉の季節にみたくなる作品ですもみじ
右)奥田元宋「奥入瀬(秋)」 左奥)東山魁夷「秋彩」 ◇共に山種美術館蔵


竹内栖鳳「柿の実」 ◇山種美術館蔵


この日の装いは<月に雁>だったので、こちらの画とパチりカメラ
小林古径「夜鴨」 ◇山種美術館蔵


山種美術館のカフェ椿でいただける青山菊家がつくる展覧会にちなんだ上生菓子。

酒井抱一「秋草鶉図」にちなんだ、黒糖風味の大島餡のきんとんに乗った月と鶉が可愛い♪


※青い日記帳×山種美術館ブロガー内覧会にて撮影させていただきました。
takさん、山﨑妙子館長、そして山種美術館の皆さま、いつもありがとうございますm(_ _ )m

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