第8回 美しいキモノアカデミーへφ(.. )

1時限目は染織家の笠原博司先生のお話

笠原先生のお話は「つくる」の起源から。
展示されていたこれらのモノは何だろう…?
ネパールでバターをつくるときにつかわれる「グルロ」というものだそうです。

道具を道具だけにしない、それは工芸の始まりである。民芸はそれに近い。
自然、祈り、遊びから、人が人として培ってきた文化である。
笠原先生はこのグルロのコレクターでいらっしゃるそうです。

そもそも、笠原先生が染織の道にはいったのは、ある1台の織機に出会い、これを動かしてみたい!っと
思ったのがキッカケなのだそう。当初のお話に納得。なるほどー。

茜、蘇芳、ハンノキの植物染料と化学染料の併用で染められた「阿国」
現代的というよりも今様の小袖としてつくられたそう。

動きによって光が反射して色が変わって見える綾織り。


美しいキモノアカデミーでは、休憩時間に両口屋是清さんの生菓子がいただけます♪
「荒磯」と銘された、黒糖の味がしっかりした葛菓子でした。


2時限目は「自分でできる汗抜き」の実技講座。

皮脂汚れ、ファンデーションのしみ抜きの実演。

摩擦によるスレを起こさないようにするためには、ベンジンをたっぷりつかいます。

タオルにベンジンを含ませ吹いた後に、乾いたタオルで拭きとるだけで落ちるものもありますが、
落ちきれなかったものは棕櫚のブラシで掃くように。


汗抜きの実演。
板にタオルを巻いたものを肩口にいれていました。

板に巻いたタオルと長襦袢の汗がある箇所に霧吹きで水をかけます。
あとは拭き取って乾かすだけ…。


自分でもやってみましょう♪
長襦袢持参でとの通達だったのですが、私の場合は夏の長襦袢は水洗いしてしまうので、
自己責任ということで、きものの汗抜きをすることに。

霧吹きで汗をかいた箇所に水をかけ濡らして、乾いたタオルで拭き取るだけということなのです。
この時に、経糸にそって拭くというのがポイント。

ビシャビシャになるまで水をかけて拭き取り、仕上げ。
簡単なことなのですが、輪ジミになったりすることもあるので、慣れないと難しいですね。
ですが、毎回この汗抜きをしておくだけで、あとはシーズン後にお手入れにだせば大丈夫です。


衿にファンデーションがついていたので、ベンジンをお借りして自分で落としました。
本来は油性系の汚れを落としてから水性系の汚れ落としの汗抜きをします。

絽の小紋は汗抜きやシミ落としもある程度までは自分でもできますが、絽縮緬や本塩沢など、
強撚糸をつかったものは躊躇します。
要は仕上げの問題でやることは同じ…ということなのですが、さすがに勇気がいりますね^^;


ただの丸洗い(仕立てあがったきものの状態でのドライクリーニング)では、汗は落ちません。
後々の黄変の要因になるので、着終わったら、自分で汗抜きをしましょうとのこと。
ただし、自分でできる範囲はここまで。

今回の講義をされた、やま忠さんでは、汗抜き剤を噴霧して丸洗いすることによって、
汗抜きと丸洗いができるそうです。

簡単な皮脂汚れと汗抜きまでは自分でやって、シーズンが終わったらプロに依頼。
20年毎に洗い張りし、仕立て替えが良いとのお話でした。

※撮影及びきものカンタービレ♪への掲載の許可を美しいキモノ編集部よりいただいております。

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