相撲は神事であり、日本の国技。そこには今も伝承されつづけている染織があります。行司装束はもちろんですが、土俵にあがった力士がただひとつ纏うもの「廻し」です。本場所の取組で締める廻しのことを「締め込み」といいます。

「うちの工房では今も締め込みを手織りで織っています」と京都のおび弘さんよりお聞きし、ぜひ織っているところを見せていただきたい!とお願いしておりました。
締め込みは千秋楽が終わってから後援会から問屋さんを通じて注文が入り、そこから糸を染めて、
次の場所までに一気に織られるのものだそう。千秋楽が終わらないと次の注文が入るかどうかはわからない…とのことだったのですが、5月場所の千秋楽後に注文が入ったとご連絡をいただき、6月の初旬、染めあがった糸を持って工房へ向かうというおび弘さんに同行させていただきました♪

その工房は琵琶湖近くの長浜にあります。


じゃ~んビックリマーク
これが、これが締め込みを織る織機です。機屋(はたや)といわれます。大きい\(゜□゜)/

締め込みを織ることができる機屋が残っていることころがないそうで、現在の締め込みはほとんどが力織機で織られています。こちらは手織りで織られる締め込みの唯一の工房です。


織っていらっしゃるのは中川正信さん。

経糸は何と、30,140本ビックリマーク筬の羽に細い経糸が2本通っている繻子羽二重なので15070本×2。
組織は5枚繻子です。

緯糸は4種類の糸を21本撚りあわせたものがつかわれます。
1種類だとその糸の癖で柔らかすぎたり固すぎたりしてしまうのだそうです。

柔らかいもの、コシがあるもの、細い糸、太い糸など、糸質の違う糸のあわせ方によって締め込みの固さと弾力を調整するのとのこと←力士によって好みがあるそう。
どんなに技を凝らしても布は糸で決まる「糸正直」という言葉があると、葛布の村井龍彦先生がおっしゃっていましたが、取組を左右する締め込みにも糸のこだわりが生きていました!


筬打をする框(かまち)は約40kg( ̄□ ̄;)!!
1人が織るには30分で4寸(約12cm)が限界で、2人1組の4人交代制で織られるのだそう。
気温や湿度で打ち込みの加減を調整し手織りならではの風合いと弾力をつくりだしています。

締め込みの巾は2尺(約76cm)。通常の巾の倍くらいあります。

長さは大体20尺といわれますが、力士の腰回りで違うそうです。約7m~10mぐらいだそう。


はじめて目にする機屋に興味津々で眼を輝かせていると…、「やってみますか?」と中川さんに機屋に座らせていただきました。急なことだったので、襷掛けもしていないのですが…(+_+)

踏み木を足で踏み経糸綜絖をあげます。

経糸綜絖があがった状態。

この框の手前の経糸と経糸の間に緯糸の杼を通します。

巾が広いので杼を投げるものの届かきません(>_<)

なかなかうまくいかないのですが、貴重な機会をいただいたので真剣(-_-

40kgの框は手前に引きよせるのも至難の業

私の力では打ち込めず…、この紐で補助して框を引っ張るようになっていました。これが2人体制になるのですね。


織りあがった締め込みは女性が手を触れることは許されません。
これはすでに織りあがった締め込みをだした後、次に織る締め込みを繋ぐまでの試し織り部分。
織り手にはかつては女性の方もいらしたそうです。


この金色の2本線があるものが、こちらで織られたもの。
締め込みの試し織り地をいただきました~ヾ(@°▽°@)ノ

締め込みは締めてしまうとこの金の線が隠れてしまうことが多いようで、自分の手持ちの写真でハッキリわかったのは、稀勢の里でした。
いつも行司ばかりを撮影しているので、力士の取組の写真がほとんどないのですが、9月場所は廻し姿に注目したいと思います! ←力士のお尻ばかり撮影することになりそうですが(^_^;)


そして、こちらの工房には締め込みの機だけでなく、おび弘の帯が織られています。
これがまた貴重だった!
記事を改めてご紹介します(^-^)/

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