結城紬の産地製造問屋である奥順へ

1907年(明治40年)創業以来、機屋と連携し結城紬の企画から製造、流通までを行なっています。
こちらは国の有形文化財に指定されている創業当時からつづいている仕入れ場。

奥順の奥澤武治社長とカメラ 社長がお召しになっている夏結城の羽織の絣が蟹文様でした。


今回は奥順の夏結城を着て里帰りさせました♪
それとは違った里帰りが結城紬にはあります。産地地入れといわれる「湯通し」の工程です。

結城紬は真綿から紡いだ撚りのかかっていない手紡ぎ糸をつかって織られます。
真綿1枚に繭5個、1反分には400枚の真綿が必要です。

撚りがかかっていない糸は弱いのです。織る前に毛羽立ちとスレから防護するために
小麦粉糊(うどん粉の糊)がかけられています。
この写真が糊づけされた糸の状態。仕立てる前にはこの糊を落とすことになるのです。


2年前の夏に奥順さんにご案内いただき、湯通し工場を見学させていただきました目

結城紬は人肌ぐらいの温度のぬるま湯に一昼夜つけておき、
糊が柔らかくなったら表面の糊を落とします。

1反づつ反物を送るように何度もくり返し洗い、芯糊といわれるように少しだけ糊を残します。
季節や織元によって糊の具合が違うため、この少しだけ糊を残して落とすのが難しいのだそう。
この加減は結城紬の小麦粉糊の性質を知った職人でないとできないそうです。指がセンサー。

仕上げは水で洗います。

反物の幅を常にチェック

天日干しされます。

ここに張られた反物はお嫁入り先が決まっているということですね(^-^)

湯通しして縮んだ生地幅を整え幅だしをします。

下から蒸気がでていて回しながら整えます。

結城紬は洗い張りも結城に戻したほうがいいのだそう。とにかく糊が他産地とは違うのです。
糊が取れてしまった場合糊づけもしてくださるのとのことでした。

他産地は布糊、蒟蒻糊、もしくは合成樹脂をつかった油性糊がつかわれます。
うどんになる小麦粉糊をつかっているのは、結城だけです。
お土産でいただいた、つむぎうどん。


地機を織っていらっしゃるところも見学させていただきました~♪

地機で織られたものの中から、絣をあわせて織るのには熟練された技が必要。
緯糸の杼は600gもある大きなものがつかわれます。
経糸は腰につけた紐とつながっていて、緯糸を打ち込む時にグッと腰を引くのだそう。
結城紬は経糸と緯糸の太さが若干違うのも隠れた特徴のひとつ。
やや太めの経糸で織られることで着装した時にほっそりみえるのです。


【結城紬の重要無形文化財の指定条件】 
①使用する糸はすべて真綿より手つむぎしたものとし強撚糸を使用しないこと
②絣模様を付ける場合は手くびりによること
③地機で織ること


さて、先日の話に戻します。
じゃ~ん\(゜□゜)/ここにあるもの、すべて結城紬ですビックリマーク

こんなにたくさんの結城紬があるとたまには違った雰囲気のものにチャレンジしてみようかしら…と
迷ってみたり…(@@;
しかし「こんな帯にあわせる、こんな絣柄の結城紬が欲しい!」と具体的にお願いしたら、
バッチリのものを持ってきてくださいました。ありがとうございます~ヾ(@^▽^@)ノ
100亀甲の雲文様の結城紬。誂え中のあの帯にピッタリ~ドキドキ

結城紬の特徴は、とにかく軽くて暖かいこと(普通の絹織物は700g~800g、結城紬は550g~650g)
その秘密は糸にありますビックリマーク
糸は撚ることによって空気を排出し固くなりますが、結城紬の糸は糸に撚りがないので空気を
たくさん含んでおり、真綿のしなやかで身体に沿うような着心地が生まれるのです。


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