「~木や草を織る~ 原始布•古代織への誘い」展が東京交通会館2Fギャラリーにて開催中(~16日まで)
昨年の秋に訪れて大感激した米沢にある原始布•古代織参考館の展覧会です。


初代館長である山村精(やまむらまさし)氏は、日本の原始布や古代織の復元と存続に取組み、
その際に集めた膨大な資料を蒐集され、原始布•古代織参考館をつくられました。
編衣、藤布、科布、楮布、葛布、麻布、蕁麻布、苧麻布、紙布、ぜんまい織、琴糸織、アットゥシ、裂織、つづれ織、津軽こぎん刺し、南部菱刺し、など貴重な布と織機、資料が展示されています。

麻を栽培し繊維を取る以前、遥か昔の話(縄文時代から)ですが、古代の人々は野山に
自生する靭皮繊維から布を織っていたといいます。木綿が庶民に普及しはじめると需要が
なくなり、大変な手間がかかる原始布(自然布)は都市から離れた山村の集落にのみ残り
わずかに伝承されているという状況…。1950年(昭和40年)ごろ山村精は古布を手に
山村の織り手を訪ね歩き、見聞きした記憶を記録し研究そして復元されました。

山村精氏のお嬢さんの洋子さんとご主人の山村幸夫館長カメラ

この原始機を織っていらっしゃる写真は洋子さんです。


編衣、科布、紙布、大麻布、蕁麻布、苧麻布、ぜんまい織、琴糸織、アッツシ、庄内刺し子、
津軽こぎん刺し、南部菱刺し、など。原始布•古代織参考館から貴重な布と資料が展示されています。

きものや帯、バッグ、ショールは「出羽の織座」としてつくられ販売もされています。
あまり市場では見かけないので貴重な機会です♪


日本最古の衣服といわれる網衣。
綜絖をつかった織機による織物以前の編み物、組紐に似ています。
米俵はこの技法で組まれているのだそうです!!←はじめて知った


これは琴の弦でつかわれる絹の琴糸。琵琶湖の北でつくられているのだそう。
強い撚りをかけて特殊な技で固めるとこんなに固い糸になります。

撚りをとるとこんな感じ。小千谷の湯もみによる縮みに似ていますね。

この撚りがもどった状態で織りあげると独特のシボと弾力性のある織物となります。

こちらは草木染めの琴糸織です。


ぜんまいの新芽は綿のような衣で覆われています。これは雪から新芽を守るためのシェルター
のようなもので、寒い地域のぜんまいほど、羊の毛のようにワタワタしているのだそうです。
春にぜんまいの新芽を採取した後、食用の茎と綿を分け、綿を集めてゴミを取り除いて、
天日でよく乾燥させます。夏になると90℃ぐらいで蒸し、乾燥させて真綿と混ぜあわせ糸を紡ぎます。

経糸は綿糸か絹糸、緯糸にぜんまいの糸をつかって織りあげた帯がこちら。
ぜんまい織は保湿性と防水性が高いのが特徴。


しな布、ぜんまい織、ぶどう蔓のバッグも充実。藍染めの暖簾は伊豆大島の菅原匠さんの作品。


こちらの藍染め、正藍型染師の田中昭夫さんの型に似ている。と思ったら、田中さんによる染めでした!
出羽の織座のものを染めていらしたのだそう。落款が「紺定」。


じつは5月に表参道のギャラリーであった田中昭夫さんの頒布会にて田中昭夫さんにお会いしました。
こちらはその
頒布会でのお写真。
田中さんが最後に染められた藍染めは、じつは私が購入させていただきました♪

好みだわ~(〃∇〃)ドキドキと思ったら、つながっていたのですね…。

途方も無い時間と手間がかかる原始布は、かつて時間だけはあった時代につくられたものであり、
せわしなく生きる現代に置いては贅沢なものとなってしまいました。
それだけに、時間の豊かさを感じることができます。
米沢の原始布•古代織参考館は布好きならば絶対に訪れてほしいところと太鼓判を押します♪
まずは東京での展示会で、布に触れてみてください(^-^)/


「きものカンタービレ♪」のFacebookページ矢印