日本橋三越の呉服特選サロンにて「北村武資 作品展」が開催中


北村武資先生のお話が聞ける貴重なトークイベントがありました。
三越さんより撮影許可をいただいていたのですが、鏡張りのお部屋だったためお客様が
写り込んでしまったので、トークイベントでのお写真の公開は控えます。


「羅•経錦」重要無形文化財保持者の北村武資先生とカメラ
北村先生は今年で80歳。15歳から織物をはじめられ、織物にたずさわって今年で65年に。
第2回日本染織展に初出品した作品が日本工芸会会長賞を受賞して以来、常に新しいものを発表
しなければと思いオリジナルを追求し創作したけれど、毎年出品するようになって息切れ、限界を
感じたと…。その後、色と文様ではなく、経糸と緯糸をつかった織そのものの技術によって、
現代の意匠を織りあらわすことを意識するようになったのだそうです。


●羅の技術について
羅の構造は、簡単に言うと経糸を左右にクロスさせたところに緯糸を通して織りあげると、
経糸の綟れたところに空間ができ、網目ができるというもの。一張羅の語源でもあります。

2100年以上昔の古代中国、前漢の墳墓から発掘された羅の写真を見て、どうなっているのか
興味をいだき、古代には織られていたが現代では織れないとされていた羅の復元にチャレンジ。
資料を分析し織りあげるが、羅の構造は同じでも、糸の質、織りあがっている感覚を復元するのは
極めて難しかった。しかし古代の糸は極めて細いものだったが、糸の特性を考え追求し、
それを今の糸で織りだしたことが新しい創作となったのだそう。


●経錦の技術について
複数の経糸の浮き沈みで文様をあらわす経糸の密度の高い織物のこと。
綜絖の図案は、本来ならば専門家にまかせるものだそうですが、自分の思うような形にするには
自分でするしかないと思い、折に触れ書き訓練し自分で紋意匠図を書くようになったのだそう。
それによって統一感、緊張感がある作品ができるとのこと。
綜絖、筬などは独自で考えたものを使用しているのだそうです。

経錦はギッシリ詰まった経糸で織りあらわされます。経糸は4000本弱。緯糸は1色です。


古典柄の友禅とそれにあう帯が主流だった中、森口華弘先生や志村ふくみ先生の作品
にあう帯をつくってほしいという要望もあり、自分の作品が上手く調和したというお話も。
確かに…。森口華弘作品には北村武資帯があう。それ以外に思いつかない~(゚_゚i)


トークイベントの後に、織物はそもそもが身近にあったものを編むことからはじまったのでは…。
というお話をチラッとしていただきました。
織りの技であらわす文様表現は、そもそもの織りの根元でもあります。
それを追求することだけに留まらず、多様化された今の時代の美を産みだしている。
溢れんばかりの探究心がつくりだした美の賜物なのですね…。


「きものカンタービレ♪」のFacebookページ矢印