銀座もとじにて古代織産地連絡会の「北から南 日本の自然布展」が開催中(~26日まで)


布の原点である自然布。麻を栽培し繊維を取る以前、遥か昔の話(縄文時代から)ですが、
古代の人々は野山に自生する植物から布を織っていたといいます。

古代織産地連絡会は、現在でも植物から繊維を取り出して織っている各産地の集まりです。
自然布展の初日は、しな布、大麻布、葛布、芭蕉布、宮古上布、手紡ぎ和棉布の
つくり手が一堂に会してのシンポジウムが開催されました。


量産化と効率化がすすんだ現在まで、これだけ多種類の自然布が残っているのは世界でも
珍しいことなのだそう。産業化された日本で残っているのは奇跡に近いともいわれています。


各産地が一堂に集まったからこそ、その違いがわかる!
実は私がぬぬパナのレクチャーでやりたかったことでもあったのですが…←時間と私の力不足汗
繊維の種類、収穫までにかかる時間、収穫の季節、畑なのか野生なのか、各産地のつくり手に
聞いていく形でシンポジウムが開催されました。


植物繊維は大きく3つにわけられます。※古代織産地連絡会の中での例
◎種子繊維(和棉)
◎靭皮繊維(大麻、苧麻、葛、シナノキ、藤、オヒョウ)
◎葉脈繊維(芭蕉) ←芭蕉の茎はタマネギのような層になっています。

畑なのか野生なのか
◎畑(大麻、和棉、芭蕉、苧麻)
◎野生(シナノキ、葛、藤、オヒョウ)

それぞれの収穫までにかかる時間、季節、そして布の特徴などは、各レクチャーのレポでご紹介します。
近いうちにわかりやすい表にまとめたいですね。

古代織産地連絡会の事務局長である、大井川葛布の村井龍彦先生とカメラ
夏に向けて葛布の傘をもう1本お誂え中です~♪葛布の軽さと光沢は日傘向きなのです。
でもいつかはきものを誂えたい!と思っています。その前に帯?


古代織産地連絡会の旅ではカメラマンをしてくださる大麻博物館の高安淳一先生とカメラ
日本人にとって古の時代から神事に欠かせないものであった大麻。


自然布は糸が命。というか、糸づくりが何より大変です。
たくさんの人で糸を績みそれを織った大麻布がありました。

糸の細さ太さは一定ではないですが、それも光を放って味になっています。


たくさんの人で一反のきものや帯の糸を績むこと、昔は普通だったのだそうです。
芭蕉布の平良美恵子先生曰く、今ではお葬式の香典はお金になっているけれど、
昔はお金の代わりに持ち寄った材料でみんなで糸を績んで渡すことが通例で、
みんなが同じ意志で同じトーンで績むユイマールの精神がある。
ユイマールはユイ(結い)+マール(順番)という相互扶助の意味。
芭蕉畑の草取りをし、芯どめをし、時間がかかることはみんなで助け合う。
たくさんの人が集まってやることで手技を磨き上げていくことにもなり、糸になり布になることに
名前はない。そこが絵画などの作家ものとは違う。芭蕉布に作者はないという言葉はここから。
作家名よりも布に込められたパワーと人のつながりを感じて欲しい…。

昨年秋に喜如嘉に糸づくり体験にいったとき、糸績みをされていたおばあちゃま達が楽しそうだった
ことが思いだされます。

糸づくり…、産地に違いはあれど、昔の女性の多くはやっていたこと。
全国で糸づくり選手権とか開催したら、糸績み、糸紡ぎをしたい人はいるような気がしますが…。

平良美恵子先生とカメラ
芭蕉の葉が両面染めで染められた宮古上布をお召しでいらっしゃいました。素敵~(〃∇〃)ドキドキ
帯は芭蕉布です。 今日はこれから平良美恵子先生のレクチャーがあります!


会期中は「大人の夏期講習」と題して、古代織産地連絡会の各産地によるレクチャーが
日替わりで開催されています(すべて、銀座もとじへの予約制)
自然布に近づくには、何よりも本物を見ること、そしてつくり手の思いを知ること。
それに近道はなく、ただひたすら学ぶのみかと。お金も時間もかかるのです…(・_・;)

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