「あれ、朝香さん台湾にいるんじゃ…?」と、色んな方からお声がけいただきましたが、
帰国いたしております。台湾の旅レポートの途中ですが、リアルタイムレポを。

今年で49回目となる日本伝統工芸染織部会が開催する染めと織り作家の公募展が
日本橋三越の呉服売場にて開催中。(前期 ~8日、後期 ~12日)
日本工芸会会員の方と一般作家を対象に公募された作品の中から選りすぐりの
入選作が展示されています。この後は、京都、岡山、福岡と巡回。

この日は、友禅の重要無形文化財保持者である二塚長生先生によるギャラリートークが
ありました。

日本工芸会の作品展は奇をてらうようなものはなく、シンプルで端正、しかし見る側を
グッと引込む力に溢れています。その魅力はどこからくるのか?
二塚先生のギャラリートークは、それぞれの作品の引き付けポイント!の秘密の説明がありました。
二塚先生の探究心と精神は何と清らかで美しいのだろう…と、そのお話に感激いたしました。

私はつい作家の独自性や技を知識として吸収することに夢中になってしまうのですが、
会期中にもう一度じっくり鑑賞したいと思います。

二塚長生先生とカメラ
隣り合う染料が滲み混じり合うのを防ぐための糸目糊置き。その糸目をデザインとしてつかう
白上げの技法を追求し、脇役であった真糊をつかった糊置きによって生まれる線を意匠の
主役とした友禅が二塚長生作品の特徴です。
海から吹き上げる風の勢いが見事に糸目糊で表されています!
友禅訪問着「海からの風」


鈴田滋人先生とカメラ
木版摺りと型紙捺染を併用する独特の染色方法で染められる和更紗のひとつ鍋島更紗。
版を繰返すことと置く位置によって生まれる空間が生み出す文様が独特のリズムとなって
います。
卵色の地色に松の意匠が気高くも優しい印象でした。
木版摺更紗着物「松映」


私が今展覧会で一番着てみたい!と思った作品合格 
ただ現代的というのでなく、新しく美しい久留米絣だ!!!と、感激いたしました。
松枝哲哉先生とカメラ
久留米絣着物「光響」


遠藤あけみ先生とカメラ
文様で埋め尽くされている中で計算されつくした動きがあります。
文様と文様が重なることでできる文様と色のグラデーションが面白い。
着用姿もぜひ見てみたい作品です。
会場に遠藤先生の作品を着ていらした方がいらっしゃったのですが(この方と好みが
かぶるようで、私がない袖が触れず指をくわえている作品をいつも見事に着ていらっしゃる)
着用されるとまた違った印象で、ホントきものっていいな~と思います。
型絵染着物「北野」 ※奨励賞、京都新聞社賞受賞


渡辺桂子先生とカメラ
昨年の日本伝統工芸染織展で気になる作品としてご紹介した先生にお会いできました。
ああ、昨年の茶屋染が麻だったのかお聞きしそびれました…汗
工芸会の作品では珍しいなと思った可愛らしいカモメの意匠が増殖?
土屋順紀先生からのアドバイスで常滑の情景を描くようになったのだそう。
友禅着物「沖へ」

右肩と左袖の外側にくるカモメが着てみたら面白そう。


四ツ井健先生とカメラ
ダイナミックな作品なのでいつもとっても気になっていました。お会いできて嬉しかった!
金沢?でも加賀友禅の印象とは違います。
流れ落ちる水からはしぶきまできそうなダイナミックな躍動感。
作品がとっても伸びやかで生き生きとしているのです。
友禅着物「清流」


生駒暉夫先生とカメラ
生地の素材のこだわりとそれを生かした作品。この生地には山繭が織り込まれていました。
染め帯をお願いしたいな~と思っているのですが、うーん、こういう作品を拝見すると
シルエットを生かしたきものが欲しいなっと思います。
着たい作品がありすぎてどうしたらいいのだろう…(・_・;)
友禅着物「秋日」


これからの染織界を担っていく若い先生も。
小宮康義先生とカメラ
私の中で、小宮家の江戸小紋の色らしい色の印象でした。
次につくっていただくのはこの色がいいなあ。
江戸小紋着尺「投扇興」


工芸展での先生同士のお話をお聞きするのが密かな(もうバレバレですが)楽しみだったりします。
左から、平山八重子先生、西橋はる美先生、石月まり子先生とカメラ

西橋はる美先生の作品の前で。
西橋先生は佐渡島で草木染めをされていらっしゃいます。佐渡は自然が豊かで草木も
豊富なのだそう。この作品でつかわれている優しい黄色の染料はクララ。
クララ???眩草と書くのですが、根を噛むとクラクラすることから名づけられたのだそうです。
紬織着物「草露」


※撮影は、佐賀錦作家の小形由美子先生がしてくださいました。
小形先生、ありがとうございましたm(_ _ )m
会場での撮影は禁止されています。
作家の先生に許可をいただきましたもののみ撮影、掲載の許可をいただいております。

作家の先生と一緒になぜ撮影するのか?
「きものカンタービレ♪」の目指すところが、染織界の「徹子の部屋」だと思っていただければ。

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