「いしかわ伝統工芸フェア2015」は東京ドームプリズムホールにて開催中(~2月8日まで)

●能登上布●
シャリ感のある肌触り、通気性が良く軽く、捺染でつくられる絣が特徴の能登上布。
かつては京都でも夏のきものといえば能登上布という、能登上布隆盛の時代があった
そうですが、昔は140件あったという織元も今は山崎麻織物1件のみです。
伝統工芸フェアの中でも「希少伝統的工芸品」として出展されています。

山崎麻織物の山崎隆先生と姪御さんとカメラ

経絣糸、緯絣糸共にロール捺染の十字絣
能登上布は昭和になってから、ラミーといわれる紡績糸がつかわれています。
ラミーの糸の利点は糸の太さが均一であり手績みの苧麻よりも丈夫であること。
能登上布につかわれるラミーの糸は蒟蒻糊で固めることによって、毛羽立ちがなく
しなやかに織りあがり、尚且つシャリ感があります。

絣の技法には手括り、締機、板締め、捺染とありますが、能登上布の絣の特徴は、
絣糸は捺染によるものということ。

こちらは櫛押し捺染の絣
櫛で押すわけではなく…、弓のような木型の布が貼られた側面に染料をつけて、
板巻きした糸に染料を摺り込みます。木型が櫛に似ていることから、櫛といわれます。


能登上布の工房見学させていただいた時の詳細レポは こちら☆ こちら☆

●牛首紬●
平治の乱で敗れた源氏の一族が技を村人につたえたのがはじまりといわれています。
この地方は山間地で畑が少ないため養蚕で生計をたて、品質の良いものは売りに出し、
残りのくず繭といわれる玉繭(ひとつの繭に2個の蚕)で織られた反物が牛首紬です。

糸繰りの歴史には中国に端を発し東周りの日本古来の座繰りの形式とヨーロッパを経由した
西回りの座繰りがあります。牛首紬は東周りの日本古来の伝統的なやり方。
そして玉糸からつくられる緯糸は「玉糸機(たまいとばた)」で織られます。

経済産業省による牛首紬の伝統的工芸品としての指定条件は3つ
①先練り又は先染めの平織りとすること。
②経糸は生糸、緯糸は「座繰り」による玉糸とすること。
③緯糸の打ち込みには、「手投杼」又は「引杼」を用いること。

縞が苦手な私もこれは着こなせるかもっと思った夏牛首。
③の項目は満たしていないので伝産指定品ではありませんが、その分価格的にはお手頃。

きものは骨董品でも美術品でもありません。
あくまでも着るものでありファッションのひとつです。
なので、伝産品であるかどうかは全く重要視していないのですが、どういったことが
手間がかかって価格に反映しているのか(その逆も)知った上で購入したいといつも思っています。



牛首紬…。着てみたいです!
そして知りたいことがたくさんあるので、ぜひ産地見学にいってこの眼でみて学びたい。

●加賀友禅
加賀友禅の起源は約500年前の加賀独特の染め技法であった梅染といわれています。
梅染とは梅の樹皮や芯材を細かく砕いて炊きだした染液につけ石灰などで媒染する
無地染めのこと。梅染の染法で黒味を帯びた色に発色させたものは黒梅染と呼ばれました。
模様が施されるようになったのは加賀御国染めとよばれる兼房染や色絵、色絵紋が確立され
た17世紀中頃で、この頃に現在の加賀友禅の基礎が確立されたようです。

加賀友禅はこの加賀御国染を基に京友禅の創始者といわれる扇絵師宮崎友禅斎が、

晩年金沢の太郎田屋に身を寄せ、加賀御国染にデザインを持ち込み確立した染色技法と

その作品といわれていますが、この友禅斎の出世譚が岸駒に酷似していること考察され

現在では宮崎友禅斎はあくまでも扇絵師でありデザイナーであったとされています。

現存するもので、宮崎友禅斎の手によるものと確定しているものは扇1本のみです。


加賀友禅の特徴は加賀五彩といわれる臙脂(蘇芳)、藍、黄土、草(緑)、古代紫(墨)を
基調とした落ち着きのある写実的な草花模様を中心とした絵画調の柄。
外を濃く中心を淡く描く先ぼかしや木の葉の虫食葉(わくらば)の技法がつかわれます。
仕上げに金箔や絞り、刺繍などがつかわれないことも特徴。

加賀友禅の花緒も素敵~♪
加賀で加賀友禅作家と称されるには加賀染振興協会に落款登録をすることが必要です。
どんな作品にもひとつひとつに落款が入っています。
加賀友禅の落款は朱肉でなく糸目糊で描き入れられるのが特徴。


つぎは「加賀繍」のワークショップのレポートです(^-^)/

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