この訪問着の意匠は、葵にマーガレットという珍しい取り合わせです。

葵の葉とマーガレットの花びらや花弁のところどころに刺繍が施されています。
デジタル顕微鏡でみるとこんな感じ。

正座の席での着用は避けよう…(x_x;)



葵の文様というと、徳川家の家紋である三つ葉葵のイメージが強いと思いますが、
三つ葉葵は二葉葵をデフォルメしたデザインであって架空のもの。
二葉葵はウマノスズクサ科に分類されるハートの形をした葉をもつ多年草のことです。
ちなみにアオイ科の葵とは別物。

葵祭の頃、釣り鐘のような小さな花を根元につけます。


マーガレットは明治末期に日本に渡来。日本名は木春菊。
園芸種としてポピュラーになりますが、きものの意匠としてはほとんど
つかわれることがないように思われます。
「好き、嫌い、好き…」といった恋占いにつかわれる花なので、
どこか淋しい印象があるのかも。


帯は七宝に四君子文様。
四君子は、中国明代の書家であり画家であった陳継儒(ちんけいじゅ)が、「梅蘭竹菊四譜」
の中で梅蘭竹菊を四君子と呼んだことがはじまりなのだそうです。
「寒なれど秀、春来るを率先して報ず」厳寒の中他の花に先駆けて咲く梅
「善人は蘭の如し、王者の香りありという」貴人の風格があると称えられる蘭
「虚ろなるに因りて益を受く」暑い日差しの中でも悠然と立つ竹
「身を軽くし、気を益し、人の寿を延ぶ」延命長寿の象徴でもある菊
この帯の菊はマーガレットに似ているので、きものと帯で文様を合わせてみました。



【1月25日の装い】東京◇晴れ(湿度46%) / 最高気温12℃ 最低気温1℃

新年会を兼ねた千秋楽の打上式なので、華やかな装いで。

葵と木春菊文様の訪問着に川島織物の七宝に四君子文様の袋帯をコーディネート。


力士は五つ紋付のきもの姿ですが、参列者できものを着ている人は
数えるほどしかいないのが残念。0.5%ぐらいでしょうか…。
先日の「きもので相撲観戦」のときに、きもので観戦は辛い…という意見が
多かったので、国技館千秋楽観戦後のパーティーにきものでくるのは
よほど着慣れていないと難しいのかもしれませんね。
打上式も立食でほぼ立ちっぱなしですし…(^_^;)


笹蔓緞子文様の帯あげは加藤萬、帯〆は龍工房

松尽くし文様の利休バッグはかづら清老舗

ピンク~薄グリーンの十二段グラデーションぞうりは四谷•三栄


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