越後三産地合同織物新作発表会へ。
この発表会は業者さんの買い付けのためのものなので、一般消費者は入ることが
できないのですが、取材と相互理解を深めるため昨年よりお招きいただいております。

小千谷織物同業協同組合の皆さまとカメラ


江戸時代に綿が普及するまでは、布といえば麻布のことをいいました。
麻の中にも、庶民が着るものから上布のような献上品までピンからキリまでありますが、
絹を纏うことが許されたのは支配階級のみだったため、庶民の衣服は真冬でも麻だったのです。

現在の麻素材の着用期間の目安は、7月8月の盛夏とされているところが多くみられます。
しかし所謂「衣替え」は、明治政府の定めた役人の制服の衣替えに倣ったものであり、
日本人がきものを日常で着なくなってしまった戦後に、着付け教室なるものがでてきたときに、
わかりやすいルール(教えやすいルール)としてつくられたものです。

透け感の少ない麻は、梅雨時期から残暑厳しいお彼岸前まで着ることが体感に適しています。
フォーマルでの装いはまた別の話ですが、日常着は天候や気温にあわせて選ぶのが自然です。
麻は速乾性に優れ清涼感があります。何よりも麻は水に強く洗えるのです。
小千谷縮のシボはアイロン入らずなのも、アイロン掛けが苦手な私にはありがたい♪
スコールのような大雨の中でも麻なら絹のように縮む心配もありません。

重要無形文化財の指定条件を兼ねそろえた小千谷縮や越後上布を日常着として着倒す…
なんてことは、さすがにおいそれとできませんが、摺込捺染で絣つけしたものや機械紡績による
ラミーの糸をつかったお手頃価格の小千谷縮は湿度の高い日本の夏にはピッタリの素材なのです。

おだ工房のマンガン絣の小千谷縮。
本物の絣括りの糸をつかった絣は、手間隙がかかり高額となるため小千谷縮の小絣を
表現する為につくられた捺染の絣です。
しかしこの技法を継承しているところも今や1軒のみだそう。
絣好きの私としては、手に届くお手頃価格の絣柄のきものはとってもありがたいです。
黒地に柿渋色は今年の新作。蛇の目傘柄や燕柄もありました!←どちらもツボ恋の矢


こちらは経糸と緯糸の暈かしで不思議な立体感をだしていた杉山織物さんの小千谷縮。
切子ガラスみたいっと一目惚れ(〃∇〃)ドキドキ ←雪花絞りに次ぐブームになると勝手に予想。
素材はトスコが取り組んでいるオーガニックプロジェクトの一環である、オーガニックラミーでした。
着心地には関係ないでしょうけれど、環境にやさしいのなら尚良し。

杉山織物の杉山成基さんとカメラ
会場内でのお写真ありがとうございました!


工学科出身の理系畑の樋口隆司先生とカメラ
樋口先生の作品は、自然の光を写しとったようなものが多いのですが、
定規と電卓をつかった年密な計算の元に生み出されています。
夏の陽射しに映える光を纏ったようなきれいな色のものがたくさん。


そして、塩沢会場へ。


塩沢織物工業組合の皆さまカメラ


本塩沢(塩沢御召)はもともと越後で織られていた麻縮の技法を応用してつくられた絹織物。
八丁撚糸といわれる強い撚りをかけた右撚りと左撚りの緯糸を交互に織りあげて、湯もみに
よって撚りを戻して生地を縮ませシボをだしたシャリ感のある織物です。
母からのお下がりは本塩沢が多いのですが、単衣に仕立て替えして年中着ています。
独特のシャリ感と纏ったときの裾への落ち感、そして身体に沿う感じが着心地が好きなのですドキドキ
問題は、縮みやすいのでお手入れが自分ではできないことでしょうか…。
あ~、これについてご相談にのってもらえばよかった!

「いろはにキモノ vol.2」で染めもの中野のカエル親子の帯にあわせて着ているのは、
やまだ織の昨年の新作のダイヤ柄の本塩沢でした。


林宗平先生の本塩沢、中島清志先生の越後上布は、欲しいと思いつつ中々手が届かない…。
遠くない将来に!と思っておりますので、ご壮健でいらしてくださいませ。
やまだ織の黒地の本塩沢も素敵でした。…、あれやっぱり欲しいかも…。地味?

こちらでも囲んでいただきました~。


※展示会場内での撮影及び「きものカンタービレ♪」への掲載の許可をいただいております。

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【12月12日の装い】東京◇曇り(湿度44%) / 最低気温9℃ 最高気温14℃

クリスマスが近づいてくると着たくなる「あむあむふわわ」のニットケープ

小千谷縮に帯屋捨松のスウェーデン裂文の八寸帯をコーディネート

何となく、冬の星空をイメージしました。


ぞうりは菱屋カレンブロッソ。前坪が紺色なのがつかいやすくて◎


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