山種美術館にて「東山魁夷と日本の四季」が開催中(~2015年2月1日まで)
※一部展示替えあり。後期展示は2014年12月23日~

山種美術館のcafe椿では青山菊家がつくる展覧会にちなんだ生菓子がいただけます。

私が選んだのは、シナモン餡の「竹取」。コクがある八橋みたいなお味でした。

「夏に入る」東山魁夷 この作品からつくられています。


さて、天皇陛下の傘寿のお祝いを記念した乾通りの一般公開で皇居が話題となっていますね。
ちなみに、春の一般公開のレポはこちら 
皇居の桜のお花見 乾通りの一般公開 at 皇居 坂下門~乾門

現在の皇居宮殿は1968年(昭和43年)につくられました。
その際に宮内庁は日本画壇でも指折りの画家たちに宮殿に飾る作品制作を委託します。
その作品群は山種美術館の初代館長であった山﨑種二氏の心を捉えました。
これは皇居を訪れる賓客でなければ目にすることが叶わないもの…。
山﨑種二氏は広く一般の人々も鑑賞できるようにと、同趣の作品制作を画家たちに
直接依頼したのだそうです。

「東山魁夷と日本の四季」展では皇居宮殿ゆかりの作品が展示されています。
とても貴重な機会なのです!

「満ち来る潮」東山魁夷

山種美術館は何度も訪れておりますが、目に入ってくると圧巻ですビックリマーク

この作品は幅が9m以上あり、以前の靖国神社近くにあった山種美術館では
展示することができなかったのだそう。
現在の山種美術館はこの作品を飾ることができるように設計されたとのことでした。

この前のソファーに座ってボーッとしていると、キラキラと光の波しぶきが飛んできそう。


このキラキラの正体はプラチナ箔によるものだそうですが、
照明によって見え方が違ってくるのです。

こちらは照明を消した状態。

そして、照明をいれた状態。

下から照明を当てると、黒ずんでいた波しぶきが太陽を浴びて反射している
かのように光っているのがわかりますでしょうか。

これは東山魁夷による指示なのだそうです。
展示の仕方を指示する画家は珍しいそうですが、自分の作品がどうしたら美しく
みえるのかを考えられていたということですね。


この作品には皇居に納められた「朝明けの潮」と同じく岩緑青がふんだんにつかわれています。

岩緑青は金よりも高価なもので、このサイズでつかうということはまずない、贅沢すぎる作品です。


「満ち来る潮」の制作秘話 ~ヒストリア風♪~
東山魁夷はこの作品制作をはじめは躊躇したといいます。
宮殿に納めたものと同じでは差し障りもあるし、再び同じものを描くというのは情熱も湧かない。
ですが、ゆったりした波の動きである「朝明けの潮」に対して、岩にしぶきをあげる動的な構図を
思いついたことで意欲が生まれ、「満ち来る潮」の制作に着手することができたのだそう。
そして「朝明けの潮」を制作したときのアトリエごと、山種種二氏が引き取るということで
作品制作を承諾したのだそうです。そのアトリエは葉山にあったそうですが、現在はないとのこと。



皇居宮殿の南溜をあがったところにある波の間に「朝明けの潮」の大壁画があります。
「朝明けの潮」は幅14.3m×3.8mの大壁画、そのアトリエの大きさが想像できますね(・_・;)


皇居宮殿の千草の間と千鳥の間にある上村松篁の「扇面散らし屏風」にゆかりの
「日本の鳥•日本の花」もみることができましたヾ(@°▽°@)ノ
こちらは撮影NGなので、写真はありませんが、鳥好きとしてはみたかった作品です。

「新宮殿杉戸楓4分の1下絵」山口蓬春
「朝陽桜」橋本明治

宮殿の杉戸はこの4倍の大きさなのだそう。


山﨑種二氏、すごい方ですね。
そのおかげで、こうして美しいものを鑑賞できることに感謝いたします♪

山﨑種二氏の孫にあたられる、山﨑妙子館長とカメラ
興味深い秘話(裏話?)をありがとうございました。


※撮影及び「きものカンタービレ♪」への掲載の許可をいただいております。

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