東レきもの販売(株)の中村健太郎先生のお話


●繊維の分類と形状について
天然繊維=繊維上の天然物を加工してできたもの
再生繊維=木材パルプなどの天然物に含まれるセルロースを薬品で溶かし繊維に再生したもの
半合成繊維=セルロースなど天然に得られるものに化学薬品を作用させ繊維に再生したもの
合成繊維=石油などを原料として科学的に合成された物質からなる繊維

繊維のかたちの断面図


●合成繊維について
ポリアミド=ナイロン
ポリアクリロニトリル=アクリル
ポリエステル=ポリエステル

パンストがナイロンなのは、摩擦に強く柔らかい。
セーターがアクリルなのは、保湿性が高く
ポリエステルが最も普及したのは、強くてシワになりにくい、吸湿性がない、プリーツ加工ができる


●天然繊維→再生繊維→合成繊維→合成繊維の発展
天然繊維を素材として再生した繊維の発明から、石油由来の合成繊維へ

絹にできるだけ近づけるよう、シルクライク素材の開発へ
艶と手触り、隙間をつくることによってドレープ感、繊細な軋み、衣擦れまでも再現していく

汎用の化学繊維に優れた発熱、保温性などを高め、目的に応じた高機能合成繊維へ


●東レシルックができるまで

ポリエチレンテレフタレートのチップが糸の原料となります

溶融紡糸のプロセスの説明もありました。

シルックのきものはすべて一部手縫いの良さを残したミシン縫製のTSシステムという独自の縫製。
これにより着用、洗濯を繰り返してもかたちが崩れない。
パターン、型入れ、裁断まで効率よく生産される仕組みになっている。


きもの本来の約束事を守り、着用と洗濯に耐えられるものづくり。
繊維の構造、特徴、用途、化学繊維の開発の目的、製造工程、着用実験での機能実証。
素材のメカニズムからきものとしての縫製まで、考えられたもののお話は大変興味深いものとなりました。