信州大学繊維学部 特任教授 金森康介先生のお話


●植物繊維
植物繊維のセルロースはβ型ブドウ糖が一列に繋がったもの。単一構造の繰り返しモノマーである。
セルロースは分子間に形成された水素結合であり安定していて分解されにくいことが繊維として重要である。


●麻
植物体を水に浸けて腐らせ繊維を取り出す(レッティング)よって維管束を取り出したものが麻。
維管束(導管、篩管)は水分と養分の通り道であり、固くて丈夫。

麻はさまざまな植物が麻の原料になる。
大麻(クワ科)、苧麻(イラクサ科)、黄麻(シナノキ科)、洋麻(アオイ科)、亜麻(アマ科)、芭蕉(バショウ科)
サイザル麻(ヒガンバナ科)

維管束系は樹皮側について剥がれる。


●からむし(苧麻)について

イラクサ科の植物は日本に自生するだけで28種類。そのうち繊維として利用できるものは数種類。
からむし(苧麻)には棘や細毛がなく繊維としての質が良い。

からむしの断面と表面



●麻の美点
水を吸収しやすく放出が早い。撓みにくいことによって通気性も良い。


レッティングによって維管束を取り出したものが麻」というお話は靭皮繊維の広義についてわかりやすいものでした。