きものは1本の糸からできている…、それは自然と共存しつつ人の叡智が生み出したもの。
当たり前のことなのですが、あらためて気がつかせてくださったのは、古代織産地連絡会です。

かつて布といえば麻のことでした。
ですが人は麻が栽培される前、野山に自生する植物から繊維を取り布を織っていました。
それらを古代布といいます。
アットゥシ織、しな布、大麻布、葛布、藤布、苧麻布、芭蕉布、太布。
日本には古の昔から量産化と効率化がすすんだ現在まで、多種類の古代布が残っています。
これは世界でも珍しいことなのだそう。
さらに産業化された日本で残っているのは奇跡に等しいといわれています。

大井川葛布の村井龍彦先生とカメラ カメラを忘れてたため携帯ショットで残念(ノ_・。)


きもの暮らしをしていると、さまざまな布が気になります。
ここぞというときの装いは、立場的に絹の染めものになることが多いのですが、
今では超高級品になってしまったけれど、自然布を日常にサラッと着こなす、
そんな生活に憧れています:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

経帷子となるものは葛布がいい!と今から思っておりますが、まだ早い。
まずは日傘から。朝香スペシャルの留柄といっていただいた黄檗と紫鉱による染め。


●村井龍彦先生による「葛布の歴史と未来」●

葛布は葛の茎を繊維にして織りあげた布のこと。
撚りをかけずに糸にすることができる繊維であるけど、撚りをかけていないので強度はない。
遠州地方の葛布は経糸に綿糸をつかい緯糸に撚りをかけていない平糸の葛の繊維をつかっています。

葛布の歴史は気が遠くなるほど古く、中国の神話には、治めずして治まったとされるころ、
葛天子という帝王が人々に葛から縄のない方と衣服のつくり方を教えたとあるのだそう。
司馬遷の史記に「夏日は葛衣を着る」とあり、6300年前の葛布も出土しています。

日本では太宰府菖蒲ヶ浦古墳より出土された古墳時代のものといわれる道鏡に付着した
葛布が最古のもの。

平安期には貴族の装束としてつかわれ、蹴鞠装束の指貫袴は今でも葛布。
戦国時代には鎧下につかわれ、江戸期には裃装束、陣羽織、火事羽織、道中着にも。
「いとなみの自然布展」でも一部、展示中サーチ


葛布の裃。江戸後期のものだそうです。


●葛布の葛結びの体験●
刈り取り→煮る→室入れ→発酵→室だし→苧洗い→乾燥
ここまでの葛を葛苧といいます。 左が葛苧、右が葛糸

レクチャー用にいただいたもの。ビニール紐は練習用です。

葛苧を裂いていきます。天から地に向かうようにだと裂きやすい。

結び端が同方向にくるように結び目をつくります。

これを「葛布結び」といいます。

八の字になるように棒に巻き付けていきます。

乾燥したままの葛苧は切れやすい。力を入れすぎると切れちゃいます。

八の字に巻いていくとこんな感じに。これを「葛つぐり」といいます。


自然布の中でも糸づくりはさまざま。ちょっと体験で触れさせていただくだけでも面白い♪
自然布の現代における意義について別記事で補完します(^-^)/

【6月28日の装い】東京◇雨時々曇り(湿度80%、鬱陶しい霧雨) / 最低気温21℃ 最高気温25℃

青地格子の琉球壁上布に中野スズミのカエル一家の絽縮緬染め帯をコーディネート

途中から大雨にて撮影中止(x_x;)

雨なので、松枝忍の河童の籠バッグ。


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