「描かれたチャイナドレス」展の内覧会へサーチ
ブリヂストン美術館にて開催中(~7月21日まで)

※撮影及び「きものカンタービレ♪」への掲載を主催者さまより許可いただいております。

チャイナドレスを着た女性が描かれた日本画として真っ先に思いつくのはこちら。
安井曾太郎「金蓉」
モデルの女性は、上海領事のご令嬢で才媛として誉れ高かった小田切峰子。
細川護立が安井曾太郎に依頼し描かせたものだそう。


ん?
チャイナドレスを着ている日本人を描かせたもの?

かつて中国は文化先進国であり、古代から日本人にとって憧れの国でした。
明治維新以後、日本は西欧化の方向に進みますが、中国への憧れは残り、大正期には
日本で中国趣味が流行します。文豪は中国をテーマにした紀行文や小説を次々と発表、
美術界でも中国ブームが巻き起こりました。

1920年代、上海モダニズムが起こり、今のチャイナドレス(旗袍)がファッションとして
大流行し、それは日本のファッション界にも影響を及ぼすことになります。
1930年代には日本でもチャイナドレスが流行します。

光沢ある鮮やかな色彩、そしてボディラインを強調するシルエットに魅かれたのでしょうか…。
戦前までのまだ日本人にとってきものが日常的だった時代には、日本女性がチャイナドレス
を着ることがそう珍しいことではなかったようです。
今は自国の民族衣裳であるきものを着ていると珍しがられるという…(-。-;)汗

藤島武二「匂い」
藤島武二はチャイナドレスを好み、50着以上集めていたのだそうです。
この作品が油彩で描かれたチャイナドレスを着た女性像の初出。
チャイナドレス、とても妖艶な雰囲気を醸し出しますね。画家に好まれた由縁でしょうか。


藤島武二「女の横顔」
モデルの女性は佐々木カネヨ。竹久夢二「黒船屋」のモデルとして有名なお葉のこと。
首が細くて長くなで肩の美しい女性です。美しすぎるだけに色々あったようですね…。
藤島は横顔がその人を表すといっています。さらに、日本の女の横顔に美しいものがない。
横顔になると美が半減するといっていたのだそう。

自虐的なアングルで撮影してみました(-。-;) 
右のパネルは、現在所有者がわからずパネルでの参考展示。

藤島武二「芳蕙」
チャイナドレスは「女の横顔」のものと首周りのデザインがちょっと違っていますね。
衿の形は如意頭という幸せな暮らしを意味する付け衿。
こうした横顔はイタリアルネッサンスの肖像画にある構図だそうで、藤島はルーブルで
模写し研究をしたのだそうです。


正宗得三郎「中国服を着た女」
こちらのモデルの女性も小田切峰子。経済界ではつとに有名な女性だったようで、


そして、チャイナドレスの展示もありました。※謝黎コレクションより
チャイナドレスとは和製英語で、旗袍(チーパオ)といわれるワンピース型の衣服。
清朝満州族の騎馬民族のスリット入りの装束が原型で清朝の貴族の女性の衣裳となります。
漢人といわれた漢民族は上衣下裳のツーピース型の衣服を着ていましたが、アヘン戦争後
の西欧化で、デザインが混同していったようです。
そして、チャイナドレスといわれる旗袍の中には、京派(けいは)と海派(かいは)があるのだそう。
広東料理と四川料理の違いのようなものです。

京派は北京。伝統を重んじる内陸文化。モチーフは古典柄。装飾は刺繍やテープ。

海派は上海。流行に敏感でファッションにこだわる。上海モダニズムを生み出したところで、
プリント生地をいち早く取り入れる。


清朝期の伝統旗袍。衿の形は漢人女性のつけ衿である如意頭。

衿の形は漢人女性のつけ衿である如意頭。

牡丹と花瓶は富貴と平安の象徴。


清朝の皇族や役人の礼服の龍袍。
山と海原を組み合わせた海水江牙という意匠で平和な世界を意味しています。


チャイナ服の原型となった女学生の服


西洋風の衿のデザインを取り入れた旗袍。


アールデコの影響を受けたチャイナドレス

立体感のある花柄はアールデコの影響なのだそうです。


こちらの本を参考にさせていただきました。
衣服の文化史は、風土や文化を理解するのに肌で感じることができる学問だなあ…とつくづく。
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チャイナドレスの文化史

さて、この展覧会はチャイナドレスや中国服で来館すると割引のサービスが用意されています。

この日の内覧会もチャイナドレスでいらした方が何人いらっしゃいました。
チャイナドレスでチャイナドレスを着た女性の絵画を鑑賞する。素敵ですねドキドキ

私は…。
きものですが、金魚は中国原産といわれる魚なので金魚の染め帯にしました。
バッグはジャマン•ピュエッシュのシノワズリっぽいデザインをチョイス。
この展示室にあうように赤と黒をテーマにして装ってみました~(^_-)☆



ウエルカムドリンクとフォーチュンクッキーをいただきました♪
フォーチュンクッキーはサンフランシスコに移住した日本人がはじめたもので、アメリカの
中華料理店の食後のサービスとしてつかわれるようになったのだそうです。
このフォーチュンクッキーの年代と今回の描かれたチャイナドレス展の年代があうことから、
ブリヂストン美術館ティールームのジョルジェットでチケットの半券を提示すると、
フォーチュンクッキーがいただけます。



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