新緑が眩しい晴れの日に北鎌倉の東慶寺へ。

白山吹が咲いていました。


東慶寺にある松岡宝蔵にて「吉岡コレクション 更紗展」が開催中(~6月8日まで)


染織家の吉岡幸雄先生が収集していらっしゃるコレクションが展示されています。


17~18世紀の古渡更紗を中心に、インドのマハラジャがつかっていた豪華な金雲母更紗、
そして洋画家の児島善三郎が所蔵していた大津の大名の赤星家の99種の更紗手鑑も。

東京国立博物館蔵の井伊家伝来の彦根更紗とおなじものもあります。
インド製の白地雲鳥文様更紗

白地草花文様更紗 こちらもインド製のインド更紗からお仕覆に仕立てられたもの。

※上記の写真はフライヤーより

この日は吉岡幸雄先生による講演会がありましたメモ

事前申込みはあっという間に満席になったそうで、この日は2回転でされていました。


吉岡幸雄先生のお話からざっくりとですが…φ(.. )

更紗はインドで古くから染色された茜色の華やかな布。生地は木綿であり、木綿だからこそ
開発された布である。
インドは綿の国。紀元前から綿の栽培が行なわれている。
綿は北半球ではインド、南半球ではペルーといった熱帯性地方の植物であった。
日本に綿が入ってきて定着したのは江戸時代。
ヨーロッパにインド更紗の存在が知られるのは、大航海時代から。大ブームを巻き起こす。
インド更紗は後に輸出先にあわせたものをつくるようになっていく。
茜の発色が良いものは高い技術者がやっていてVOC(東インド会社)の刻印が裏地にある。

木綿は丈夫で耐久性があり保温性もある衣料の生地としては優秀な繊維だが、木綿は
色が入りにくい(染まりにくい)。天然染料による鮮やかな赤や紫が染まりにくいという性質がある。
(藍と茶色以外は染めにくく、多彩な色使いは難しい)
インドでは紀元前後には、インド茜をつかった極めて科学的な方法で染めることが考えられていた。

インド更紗は大別すると二種類。
細くて繊維の長い目の詰まった糸を強く打ち込んだ目の詰まった布に、カラムペンで手描きで
繊細な文様表現しインド茜染で染めて、さらに臈伏せして藍で浸染したもの。

太い糸を粗く織った厚手の木綿布に、主として木版をつかって型押しし染色したもの。


インド更紗の染色実演もありました目 

乾燥したミロバランを煮沸した抽出液に木綿布を浸して薄く染める。(タンニン酸の下染め)
ミロバランとは正倉院御物にもある、訶梨勒(かりろく )のことひらめき電球

カラムペンで図案を書く、もしくは木版で鉄液を捺印

インド更紗でつかわれる木版

輪郭の枠内で茜色にしたいところに明礬(ミョウバン)を

紫色にしたいところには明礬と鉄液の混ぜたものを塗る。


実際に茜の染液に入れての実演。

残念ながらほとんど見えず、、、… ←後のほうだったので(_ _。)
もう一度講演を聞きたかった(見たかった)のですが、次の予定があったので諦めました汗

60℃のインド茜の染液に浸して発色。


藍色にしたいところを残して、全体に臈を塗る。(臈防染)

藍の染液に浸す。

インドでは最後に化学染料をつかい、さらに木版で色挿しするとのこと。

原始的な木版による臈防染、よくわかりました!

講義のあと、ぜひ近くでみて触ってみてくださいとのことだったので、
じっくり鑑賞させていただきました。

17~18世紀の古更紗の状態の良いものが残っているのは日本だけ。
吉岡先生は端切れを残すという文化がある日本ならではのこととおっしゃっていました。

金の盛りあがっているところは陶器の粉末をつかった金泥


こちらの本に詳細が載っています。 2014年5月1日より発売。フライングゲット♪
amazonより購入できます。

更紗―Sarasa,printed and painted textiles (日本の染色)

吉岡幸雄先生とカメラ
貴重なお話と実演をありがとうございました。



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