日本橋三越にて開催中の第54回東日本工芸展へサーチ

三越本館正面入口には、この三越の新しい紙袋のデザインのベースとなった訪問着、
森口邦彦先生の第60回日本伝統工芸展出品作「白地位相割付文 実り」が展示されています。


東日本伝統工芸展は、三越新館の7階が会場。

関東、甲信越、東北、北海道に在住の作家を対象に毎年開催されている公募展です。
伝統工芸展は、重要無形文化財保持者(人間国宝)の先生方の作品もありますが、
公募展なので、入選すれば誰の作品でも陳列されます。出品資格も問われないそうです。
第54回は、染織、陶芸、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門で厳しい鑑審査を経て
選ばれた270展の作品が一堂に展示されていました。


気になった染織の作品をいくつか…。

大高美由紀 紬織絣着物「春の波」
白地に紫色の縞、そして青から紫色の緯絣の絣足が美しい~:*:・( ̄∀ ̄)・:*:キラキラ
五線譜に踊る音色が聴こえてきそうな躍動感のある作品で会場でとても映えていました。
染料は、紫色はコチニール、青は化学染料、黄色はコブナ草だそう。

松浦弘美 菱絽織生絹着物「午後をかがやく」
よーく見ると三升のような菱になっている地紋。絽織となっているのですが、絽目はよくわからず、
どういう構造で織られているのか、ぜひお話をお伺いしたいな…と思っている作家さんです。
染料は桑、蘇芳、夜久五倍子、藍で染められていると今井陽子先生による説明文がありました。

十河慶子 結城紬織着物「月夕」
大きな丸と山というか屋根のような模様が配されているのが、民芸的になりやすい藍色の
結城紬なのにとってもモダンでした。あー、こういった結城紬が欲しい~。

西橋はる美 紬織着物「春野」
明るい菜の花色が目をひいた紬。大きな格子状に丸模様は幾何学的。

片山明代 紬織帯「夕焼空」
生成地に赤の真部分集合記号のような模様。遠目でみるとまた違った印象で面白い。

佐々木苑子 紬織帯「星彩」
紫色、桃色、黄色、緑色が鮮やか。佐々木先生の作品にはパワーと品格がある…。

山下芙美子 黄八丈着尺
刈安の黄色が綾織りでとても上品に織りだされていて、光の加減ででる陰影も魅力的。

山岸幸一 双紬織着尺「八重桜」
寒染紅花らしい暖かみのある紅色。八重桜のような濃いピンク色が可愛らしくも落ちついた印象。

樋口隆司 小千谷縮絣着物「雪晴れ」
裾に向かって色が濃くなっていくのですが、色合いに透明感。雪の結晶文様がより涼しげで、
縮の凹凸も風を感じさせてくれそう。

もちろん他にもたくさんあるのですが、「私が今着てみたい!」という、気持ち的な
ものが大きいかもしれません。

驚いたのは、工芸会の選考では通らなそう…とも思えた、今っぽい作風の江戸小紋が(ノ゚ο゚)ノ
広瀬雄望 江戸小紋着尺「鮫あられに馬蹄」
鮫小紋地に馬蹄文様の二枚型染めの江戸小紋。
百貨店の実演などでもよくお見かけする、イケ面職人として有名な広瀬雄一さんでした。

これは工芸会にも新しい風がふいたのか(+_+)!
これからが楽しみになってまいりました。

会場でお会いできた、大高美由紀先生とカメラ
深緑色の紬が美しい~。藍に刈安をかけて染められたものだそうです。
帯は吉野格子。色づかいがモダンで洒落てて素敵~ドキドキ


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