きものを日常的に気軽に着たいと思ってもネックになるのは、どうしても避けられない汚れ。
着用する度に悉皆にだしていては、金銭的負担が大きすぎるのが現状です。
ならば自分でもできないのかと…?

今回の悉皆講座、日頃着ているものの基本的な簡単な汚れ落としぐらいは自分でできるように
ということで企画されたものなのですが、受講者の方が持参されるものが、
プロでなければムズカシイもの(溶剤がベンジン1種類でだけでは落ちない)ものが多く、
結局のところプロの実演見学となってしまいました汗

実技練習なので「大切なもの高価なものは避けてください」という連絡がありました。
ですがそれによって、持参されるきものもシミも古すぎたり、口紅や襦袢の裾汚れ、
すでにやっても落ちなかったシミというような、基本的なシミ落としでないものが多く、
講師の先生(職人)のプロ魂に火がついてしまってシミ抜きの実演講座に…(^_^;)

結果的には、プロの技を目の前で見せていただくことにはなったので、勉強になりました。

まず自分でシミ抜きできるものとしたら、ついたばかり(酸化する前)の衿の汚れ落とし
ぐらいからでしょうか。
前1週間の中で2日間ほぼ終日着用によってついてしまったファンデーションの汚れ。
これぐらいがシミがわかりやすくて、ほぼベンジンのみで落ちるはず!と実習用に用意。

棕櫚(しゅろ)の樹からつくられたベンジン用の刷毛をベンジン(瓶に入った透明の液)
にたっぷりと含ませます。

縦方向に広範囲でブラッシングします。

溶剤で汚れを溶かす感じでしょうか…。

木綿の晒し裂地にベンジンをたっぷりと含ませます。

衿の形いっぱいに拭き取りつつ暈します。

ベンジンをつかうと、ファンデーションのシミは簡単に落ちるのですが…、
植物染めや泥大島のシミ落としには難点があるのです。

それは衿裏への色移り(=◇=;)
琉球藍(キツネノマゴ科)の大城カメ作の琉球絣ですが、色移りが激しいです。
ちなみに私は天然染料は堅牢度が弱いということはわかっているので、気にしておりません。

ここからはプロの技でたっぷりとベンジンをつかって暈して拭き取っていただきました。
天然染料のシミ抜きは昔は藁灰をつかって落とすものだったそうです。

あっという間に衿裏に移った琉球藍の色落ちもキレイになりました。


講師をしてくださった、悉皆職人の松田光二先生です。
ありがとうございましたm(_ _ )m


悉皆はきものやシミの状態によってやり方も様々なので、結局のところ、
できるだけプロに任せましょう!というお話にはなってしまうと思うのですが、
365日きもの生活を実践するにはそうもいかず…。
私は失敗を重ねつつもできるだけ自分でするようにはしております。

ご質問いただくことが多い、私がつかっているベンジンの代わりの揮発剤はリグロイン。
医薬品ですので薬局にて取り扱いがあります。

amazonからも購入ができます矢印

リグロイン 500ML 【HTRC3】

どんなことでも、そうだとは思いますが、一朝一夕にできるものではなく、まずは知ること、
そして実践あるのみ…。失敗は当然あります。きものは染料や素材によって様々だからこそ、
様々なものを自分でやってみなければわからないことばかりです。
「失敗例も教えてください」という要望もいただいたのですが、広く公開しているところで、
誤解が生じるようなネガティブなことは書くべきではないかな~と思っておりますので、
きものカンタービレ♪では差し控えております(゚ー゚;

今回講座の会場としてつかわれた、東京染めものがたり博物館では型染め体験もできます。

東京染小紋の富田染工芸さんです。

江戸小紋の型付けを体験させていただきました。

型紙を星にあわせて生地に置いて、防染糊をヘラでひいていきます。

ご指導くださったのは、伝統工芸士の浅野匠進さん。

あ、ムラムラだ…(・_・;)

帰り際にサクッとなので、1分もかかっておりませんが、いい機会でした。



【3月28日の装い】東京◇晴れ•お花見日和 / 最低気温8℃ 最高気温20℃

琉球絣風の紬に春の花と蛇の目傘に燕の染め帯をコーディネート。
この日はお花見日和で、朝2分咲きだった神田川沿いの桜も夕方には5分咲き。

春は雨が多いのです。今日は大雨雨 昨日、お花見で良かった~。←後でレポします。
春らしい蛇の目傘に燕の描かれた染め帯

この帯は手先に桜の花びらがチラッと描かれています桜


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