「日本美術院再興100年 世紀の日本画」展の特別観覧会へサーチ
本日3月1日より後期展示がはじまりました。(後期3月1日~4月1日)


院展といわれる日本美術院は1898年(明治31年)に岡倉天心の指導理念のもとに、天心が
東京美術学校校長を辞職した美術学校騒動に連座し辞職した画家たちによって結成されました。
経営難から茨城県五浦に移り、後に天心がボストン美術館のため渡米したことによって
事実上の解散に追い込まれますが、1914年(大正3年)に天心の一周忌に再興されます。
今年2014年(平成26年)は、その再興から100年。それを記念して、前史である東京美術学校
設立から現在にいたるまでの近代日本画の歴史をたぐる展覧会です。


狩野芳崖「悲母観音」 ※写真はフライヤーより
きもの好きには川島織物が綴織で織ったものが有名ですが、その原版。
長府藩の御用絵師だった狩野芳崖は明治になってフェノロサと出会い日本画の伝統に
西洋画の写実や空間表現を取り入れます。その西洋顔料をつかった色彩表現は近代日本画
の幕開けともいわれ、この作品は、記念碑的作品ともなっていて、重要文化財に指定されています。
掛軸ではなく畳める屏風仕立てになっていたのだということををはじめて知りましたひらめき電球


橋本雅邦「龍虎図屏風」 ※写真はフライヤーより
「三菱が夢見た美術館展」でお目にかかって以来でしょうか。
六曲一双の大作の屏風で、こちらも重要文化財。雲や波が生きているかのようなリアルさ
があり、虎も龍も動いているかのよう。色鮮やかでもあり、今夜は1人でこの屏風の前に
何分か立って鑑賞する贅沢な時間があったのですが、怖いぐらいでした(・_・;)


横山大観「屈原」
岡倉天心が怪文書によって東京美術学校校長を辞職することになった美術学校騒動。
大観は橋本雅邦や菱田春草らとともに天心辞職に抗議を申し立てて教授辞職します。
大観が岡倉天心の姿を事実無根の誹謗中傷により追放された楚の詩人であり政治家の
屈原に重ねて描いたという作品。
写真はないので、「横山大観展」のレポートを参照☆

前田青邨「京名所八題」
鴨川沿いの先斗町を上から、舞妓ちゃんが行き交う四条大橋などが縦長の構図を生かし
て描かれています。勢いがある墨書きです。原三渓が所蔵していたものなのだそう。

前田青邨「芥子図屏風」
金地の上に青々とした芥子の大群生。白い芥子の花はこれでもかといわんばかりの大輪の
咲きっぷり。その隣はズラリと並ぶ蕾でなぎ倒されたような赤い芥子の花が鮮烈な印象。
琳派の影響が見られるとキャプションにはあったけれど、それよりも何か意図されたような
凄味がある作品でした。赤い芥子の花は意味深。

小林古径「孔雀」
背景はなく緑青に金泥。孔雀の羽根が丹誠に描かれています。小林古径の描く鳥や動物は
どことなく上品で人っぽい。

守屋多々志「無明」
紫色の闇に梅の花が咲き竹林。そして石段を尼僧が歩いている。空には月。
とても斬新な印象で、構図も面白い。明かりはなくとも月明かりでか石段に艶があるようにも
見えて、惹き付けられました。

平山郁夫「日本美術院血脈図」
背景にあるのは日本美術院。そこに美術学校の制服を着て馬に跨がっている岡倉天心、
周囲には横山大観、菱田春草、下村観山、奥村土牛、安田靫彦、前田青邨らがうっすらと
描かれています。周りの木々には白い鳥。岡倉天心の指し示すものが見えるような世界。

他にも、菱田春草、今村紫紅、速水御舟、荒井寛方、安田靫彦、などなど。

近代日本画の勢いある作品群がズラリと揃っています。
前期と後期で作品が総入れ替え。
近代日本画の歴史はここにある!といっても過言ではないでしょう。


【3月1日の装い】東京◇曇り時々雨、しとしと降る雨/最低気温9℃ 最高気温13℃

八つ藤の丸文様の結城縮に故森口華弘の手描きの梅の染め帯

梅の季節の日本画の美術展に、この帯をしてみたかったのです。

お太鼓の形が崩れてますが…σ(^_^;) 

帯あげ、帯〆は龍工房

バッグは両面全く違う雰囲気の古布をデコパージュした松枝忍のもの。

南天に鳥と葡萄に鳥。

閉館後の美術館なのでガラーンとしております。
ゆっくり鑑賞できて良かったです! 会期中にもう一度来よう♪


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