碓井製糸代表理事であり碓井製糸農業協同組合長の高村育也先生の話
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かつて隆盛を極めた日本の製糸産業。現在は衰退の一途を辿るいっぽうだそうで、現状の日本産の絹糸はは全体の1%だというお話から。

碓氷製糸農業協同組合は全国で唯一つの組合製糸工場。50~60前までは全国にたくさんの組合製糸や民間製糸業社がありましたが、現在企業経営の製糸工場は碓井製糸と山形の松岡製糸のみ。
50年前に群馬県内だけで約80000戸あった養蚕農家は現在は全国で約600戸に。
ですが蚕の種類は今でも品種改良が行なわれているのだそう。

群馬県では需要に応えた高品質の生糸を生産するために、群馬ブランド奨励養品種を育成しています。
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「世紀二一」繭糸が細く長いのが特徴。染色性にすぐれ染め上がりも美しい。
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「ぐんま200」生繭繰糸に適している節が少なくて白いのが特徴。
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「新小石丸」皇居紅葉山御養蚕所にてつくられる日本古来種の小石丸と別の品種を交配したもの。繭は小さく生産量は少なめ。名前のブランド力もあって高級呉服につかわれる。
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「ぐんま黄金」光沢があり黄金色が特徴。
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養蚕県ともいわれた群馬県安中には養蚕技術を専門的に教える蚕糸学校があったのですが、今は総合学園になり養蚕を専門的に教えるところではなくなったのだそう。

碓井製糸には全国で生産される繭の約6割が今でも運ばれてくるそうですが、養蚕農家が激減したことによって繭が手に入らなくなったのだそう。最盛期はフル稼働し て二交代制で16時間働くということもあったが、現在は200人以上いた従業員は25人に。海外からの雇用に頼るなどするようになったとのこと。その苦難のお話もありました。

世界遺産候補となっている富岡製糸場の紹介も。
かつては仕事の妨げになることもあり、見学ツアーは断っていたそうですが、現在は伝統を残していく意味もあり見学ツアーなども受け入れているのだそうです。
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お土産でいただいた貴重な繭と生糸。小石丸は紅葉山御養蚕所で飼育される日本古来種の純正のもの。
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大きさを比べてみましょう。左から、小石丸、新小石丸、ぐんま200
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高齢化と後継者不足で養蚕農家が減ってしまい繭が入らなくて切羽詰まっているが、自分の命がある限りは製糸の灯は消したくないとおっしゃっていました。
日本の代表的な産業であった製糸業の歴史と現状のお話でした。