台風の日の装い

現在の衣生活は、洋装が中心。日本人にとっての世界に誇れる民族衣裳である「きもの」を
着ることは、どちらかといえば普通ではない、非日常となってしまったのが現状です。
きもの雑誌では「洋装の中で浮かないきもの」が特集され、都会の街並にあうきものが推奨
される傾向にありますが…、私はきものらしいきものが好きです。

誤解を恐れずに申しあげてしまいますと、都会的でシックな装いがとてもお似合いになる方
はいらっしゃいますが、それを摸倣したところで、素敵にはならないというか、なれない…。
さらに申しあげちゃいますと、都会的でシックな装いを提唱し独自のスタイルをつくりあげられた方
がお召しになっていらっしゃるものは、拘り抜かれ高度な技によってつくられたもので、そんじょ
そこらにあるものでもありませんし、あれは美人

でないと難しすぎるコーディネートです。

「都会的でシック」「洋装の中で浮かない」このキーワードで、きものらしいきものが売れなくなった。
きものらしいきものは友禅も紬も、高度な技と労力と時間がかかるものであり、誤摩化しもきかない。
手間隙かけてつくっても売れないのならつくらない…、つくりたくてもつくれない！

…、と、まあ、こんなお話を様々なところでお聞きする中、伊差川洋子先生の作品づくりは
素晴らしい

　と改めて感じ入りました。長い前置きで失礼m(_ _ )m

紅型染染織作家であり古琉球紅型浦添型研究所会長の伊差川洋子先生の個展が開催
されているシルクラブさんへ

染織文化講座にて、伊差川先生が取り組んでいらっしゃる、紅型の祖形である浦添型の
古紅型の復元のお話をお聴きし大変に感銘を受けました。
伊差川先生の探究心と美しいものを生みだそうという心意気

を、感じたので、先生の
作品群をみせていただけるこの機会を心待ちにしていたのです。

今回の作品展は、先生がつくりためていらした振袖を中心に。
紅型らしい枝垂桜に鳥、鶴亀、松竹梅、芭蕉の葉などなど…。

伊差川先生の紅型の色目はいわゆる黄色や赤とも違ってみえ、抑えめな印象。
意外にも大人の女性が着て素敵

と思える振袖もございました＼(゜□゜)／

私もこちらの梅鼠色の鳳凰に牡丹文様の紅型を纏わせていただいたのですが、いいかも

地色の紫がかったような梅鼠色は日頃は選ばない色なのですが、牡丹文様の赤と白が
効いていて顔写りが良かったような…。
角界や音楽界でのパーティーでなら、きものの華やかさを充分にだした大人の振袖もありと
思っておりますが、私の場合は背がないので、やはり中振袖まででしょうか(ﾟｰﾟ;

もう一点、肩山から背にかけての雲取りに桜文様が美しい網干文様の黄色地の振袖も
良かった:*:・(￣∀￣)・:*:

シルクラブさまのご好意で、ぜひ羽織ってください！とのことで、他のお客さまも作品を纏われ
たのですが、それを見学させていただけたのも大変勉強になりました！
衣桁にかかっているとわからない、きものの良さや力がハッキリとでるので面白かったです。

紅型、やっぱり良いですね

浮かないことを考えるよりも、私は自分の好きなきものを纏いたい:*:・(￣∀￣)・:*:
紅型はもともと対丈で着る衣裳だっただけに、あわせる帯が難しいのですが、
それを考えるのもまた楽しい～♪

私が伺ったのは最終日。初日に伺えず、結局最終日になってしまいました。
伊差川先生にお会いできるのを楽しみにしていたのですが、この日台風が関東に接近して
いて夕方からは飛行機が欠航になってしまうとのことで、先生は急遽沖縄へ帰られることに
なり、入れ違いでお会いすることができず、大ショックー