「再興院展100年記念 速水御舟~日本美術院の精鋭たち~」展 へサーチ
きもの カンタービレ♪

8月10日には國學院大学院友会館にて開催された山種美術館館長の山﨑妙子さんの
講演会を聴講させていただきました。
展示をみてから記事を…と思っていたら、最終日になってしまいました汗 
きもの カンタービレ♪

いつもながら大変お美しい山﨑妙子館長さまとカメラ
山﨑館長さまはきものにも造詣深く、山種美術館ではきもの割引や浴衣割引を実施して
くださっています。紫陽花が描かれた無線友禅の訪問着でいらっしゃいました。
私は東京湾花火大会に行く前だったので、絹紅梅の浴衣姿にて失礼しております。
「炎舞」を意識して?オレンジ地に蜻蛉柄の絞りの絹紅梅に黒地の麻の帯です。
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山﨑妙子館長は速水御舟の研究で博士号を習得していらっしゃる専門家でいらっしゃいます。
この日は速水御舟の子孫の方々もアメリカから来日されていらっしゃり、館長のお話をとても
楽しそうにお聴きになられていたのが大変印象的でございました。

講演会にてお聴きしたお話をもとに抜粋してまとめさせていただきますφ(.. )

院展といわれる日本美術院は1898年(明治31年)に岡倉天心の指導理念のもとに、天心が
東京美術学校校長を辞職した美術学校騒動に連座し辞職した画家たちによって結成されました。
経営難から茨城県五浦に移り、後に天心がボストン美術館のため渡米したことによって
事実上の解散に追い込まれますが、1914年(大正3年)に天心の一周忌に再興されます。
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来年は日本美術院が再興されてから100周年を迎えることから、再興院展の第1回から出品
している、速水御舟を中心に横山大観、下村観山、菱田春草、安田靫彦、奥村土牛、小倉遊亀、
平山郁夫など、御舟と関わりのある院展作家の展覧会となっているとのこと。
山種コレクション約1800点の内、奥村土牛は135点(次回は小林古径と土牛 10月22日~)
速水御舟は120点を超えているのだそう。

今展覧会には展示されていない作品ですが、興味深いお話があったので。

美術学校騒動前、岡倉天心の発案によって、古い仏画をはじめとした模写事業があり、
下村観山は西洋画のラフェアエロ、ミレイなども模写しています。
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これによって人体表現を研究したのだそう。
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速水御舟についてφ(.. )

山﨑妙子館長が子供の頃、この軸は季節になると自宅の床の間に飾りお爺さまとともに
鑑賞し愛でられたというお話。この二幅の軸から漂う鋭さと怖さを幼心に感じとり、それが
速水御舟を研究するきっかけになったのだそうです。
美が常に生活とともにある環境で育まれた審美眼は何ものにも代え難く羨ましく思います。
速水御舟「白梅」「紅梅」 ※写真は以前に山種美術館さまに撮影させていただきました。
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植物や生物に造詣が深い昭和天皇が「蛾の眼が生きているね」と評されたという
速水御舟「炎舞」
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この絵は御舟が軽井沢の別荘に滞在中に描かれたのだそうです。
毎晩薪で火を燃やし集まってくる蛾を何度も写生し描かれたもの。この炎は御舟自身が
二度とは出せない色と語ったのだそう。見た方が本物の火事と間違えたこともあるのだとか。

今回は展示の照明も炎舞のために変えてあるとのことで、楽しみにしていました。
山種美術館の展示へのこだわりは絵画を愛する気持ちに溢れている気がします!
人が多い中でもそこだけは異世界のよう…。この絵に対する印象は怖い…というものだった
のですが、蛾は再生をあらわすともいわれる、今回はそんな印象を受けました。
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私が個人的に速水御舟の中で最も好きな作品は、こちらの四曲一双の金箔地の屏風。
速水御舟「翠苔緑芝」
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右には枇杷と青桐と躑躅、そして黒猫。左には紫陽花と兎がいます。
琳派風の装飾性もあるとのことですが、余白のとり方は日本画でありながら、色は洋画の
ようでもあり近代的な印象を受けます。
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紫陽花のひび割れはどう描かれたのか今でも謎なのだそう。
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山種美術館でのお楽しみのひとつ、菊家さんが山種美術館の作品をテーマにつくる
オリジナルの上生菓子。
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屏風の左側の紫陽花に兎のモチーフ「緑陰」を選びました♪ ←可愛すぎるぅ(≧▽≦)恋の矢
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お菓子にするには難しすぎるのでは?と思われていた、あの「炎舞」はこんな感じに。
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ー速水御舟のことばー
梯子の頂上に登る勇気は貴い、更にそこから降りて来て、再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い。
大抵は一度登ればそれで安心してしまう。そこで腰を据えてしまうものが多い。
登り得る勇気を持つ者よりも、更に降り得る勇気を持つ者は、真に強い力の把持者である。


若くして画壇で名声をもった御舟は、最後まで名声にとらわれることなく、型にはまらず、
新しいものを創造しつづけます。御舟は40歳という若さで早世してしまいますが、晩年は
奥さまに「これからは売れない絵を描くから覚悟するように」と言っていたのだそうです。

一度得た名声、安定した高い評価や実績に安住せず、例えそれを無くしてもまた挑戦するのが
真の勇気である。ということでしょうか。この志の高さと潔さビックリマーク見習いたいものです。

この後は、国立近代美術館「竹内栖鳳展」へサーチ
こちらも最終日でした(@_@);;


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