『染織の現場と読者をつなぎ続けた60年』/ 講師 富澤輝実子先生
「美しいキモノ」の副編集長である富澤輝実子先生によるお話
「美しいキモノ」は今年60周年を迎えます。婦人画報の別冊として創刊されました。
「なぜ、美しいキモノのキモノはカタカナ表記なのか?」
着物をそれまでにあった着るものでなく、新しく着る着るものとしてのキモノをつくりたい
という思いから命名されたのだそう。
創刊号からの表紙の写真をスライドでみながら、きものと流行の変遷についての解説がありました。
これは、クレープデシンという洋服の広幅の生地をつかってつくられたキモノ。
長襦袢も洋服生地のジョーゼットがつかわれています。美しいキモノが創刊された当時は、
洋服地をつかって仕立てたり、イヤリングをつけたり、新しいファッションとしてのキモノを
模索中だった時代なのだそうです。
表紙でつかわれている、金銀の箔一色無地の袋帯は中ページにも度々登場しますが、当時
は撮影用として帯は結んでしまうと後が残るため貸し出ししてもらえず、編集部で買い取った
ものを使い回しいていたからという、撮影裏話も。
表紙を飾った女優についてのお話も。自分のキモノは伝統工芸展で選ぶといっていたという
司葉子さん。森口華弘先生や志村ふくみ先生の素晴らしい作品をお持ちでいらっしゃいます。
創刊号からみていると写真の色に違和感がありますが、この当時のスチール写真は白黒のものに
後から人着といって人工的に着色する手法がとられていたからだそう。
「日本の染織研究」という連載がはじまります。第1回は「江戸小紋」がテーマ。
当時、寄稿されていた本吉春三郎氏は婦人画報社の経営者一族の方ですが、染織に対する
造詣が大変に深く「大彦染織美術研究所」での編集の仕事をはじめ、きもの関連の著書を
残されています。
第2回は「糸」
他媒体の雑誌から転職してきた編集部員の「研究なんだから糸からはじまるのが筋でしょう」
という意見によってなった企画。
創刊160号の企画「越後上布のすべて」
苧麻を育てるところから、糸を紡ぎ、織り、雪晒しなど、時系列に沿って極めて詳細です。
はじめてから撮影まで約二年に渡っての取材となったのだそう。
そしてこの時に織りあがった越後上布が展示されていました。
「月々の小紋」という企画でつくられた、十一月の竜田川の小紋も展示。
60年にわたる雑誌の編集にたずさわった方の貴重なお話やその時代の流行の変遷など
キモノ雑誌の編集者ならではの視点の興味深いお話でした。
「美しいキモノ」の副編集長である富澤輝実子先生によるお話
「美しいキモノ」は今年60周年を迎えます。婦人画報の別冊として創刊されました。
「なぜ、美しいキモノのキモノはカタカナ表記なのか?」
着物をそれまでにあった着るものでなく、新しく着る着るものとしてのキモノをつくりたい
という思いから命名されたのだそう。
創刊号からの表紙の写真をスライドでみながら、きものと流行の変遷についての解説がありました。
これは、クレープデシンという洋服の広幅の生地をつかってつくられたキモノ。
長襦袢も洋服生地のジョーゼットがつかわれています。美しいキモノが創刊された当時は、
洋服地をつかって仕立てたり、イヤリングをつけたり、新しいファッションとしてのキモノを
模索中だった時代なのだそうです。
表紙でつかわれている、金銀の箔一色無地の袋帯は中ページにも度々登場しますが、当時
は撮影用として帯は結んでしまうと後が残るため貸し出ししてもらえず、編集部で買い取った
ものを使い回しいていたからという、撮影裏話も。
表紙を飾った女優についてのお話も。自分のキモノは伝統工芸展で選ぶといっていたという
司葉子さん。森口華弘先生や志村ふくみ先生の素晴らしい作品をお持ちでいらっしゃいます。
創刊号からみていると写真の色に違和感がありますが、この当時のスチール写真は白黒のものに
後から人着といって人工的に着色する手法がとられていたからだそう。
「日本の染織研究」という連載がはじまります。第1回は「江戸小紋」がテーマ。
当時、寄稿されていた本吉春三郎氏は婦人画報社の経営者一族の方ですが、染織に対する
造詣が大変に深く「大彦染織美術研究所」での編集の仕事をはじめ、きもの関連の著書を
残されています。
第2回は「糸」
他媒体の雑誌から転職してきた編集部員の「研究なんだから糸からはじまるのが筋でしょう」
という意見によってなった企画。
創刊160号の企画「越後上布のすべて」
苧麻を育てるところから、糸を紡ぎ、織り、雪晒しなど、時系列に沿って極めて詳細です。
はじめてから撮影まで約二年に渡っての取材となったのだそう。
そしてこの時に織りあがった越後上布が展示されていました。
「月々の小紋」という企画でつくられた、十一月の竜田川の小紋も展示。
60年にわたる雑誌の編集にたずさわった方の貴重なお話やその時代の流行の変遷など
キモノ雑誌の編集者ならではの視点の興味深いお話でした。