銀座もとじさんにて開催中の『人間国宝 琉球紅型 玉那覇有公』展へサーチ(~24日まで)
玉那覇有公先生のギャラリートークがあり貴重なお話をお聞きすることができました。

玉那覇有公先生、きもの愛好家なら一度はお会いしてみたいと思われる方なのではないで
しょうか。沖縄染織の分野ではじめて重要無形文化財保持者(人間国宝)になられた方であり
紅型の中では唯一の作家さんです。

紅型というと色鮮やかでコントラストの強い配色をイメージされる方が多いのではないかと
思いますが、玉那覇先生の作品は、抑え目の配色でありながらも美しい色づかい。
その色には細かい濃淡があって、奥行きがあるとても洗練されたものになっています。

左から、泉二弘明社長、玉那覇有公先生、ご子息の玉那覇有勝先生とカメラ
きもの カンタービレ♪

ギャラリートークの定員は50名だったのだそうですが、過去最高の申し込みがあったそうで
80名のお客さまがギッシリ。キャンセル待ちの方もたくさんいらしたのだそうです。

有公先生はお話は苦手とおっしゃっていらっしゃいましたが、とても細かく熱意あるお話でした。

元々紅型の職人でいらっしゃったわけではなく、紅型三宗家のひとつ城間家の城間道子さんと
ご結婚されたことによって、全く違う世界から紅型の世界に入られました。
城間栄喜さんに師事されていたことは存じ上げていたのですが、ご結婚まで紅型は未経験
どころか染めたものも見たことがなかった、とのことだったので、驚きました(ノ゚ο゚)ノ
栄喜先生からの指導は、決して同じことを二度とは言わない、一言しか言わない、という
厳しいものだったそうですが、試行錯誤を繰り返し技術を身につけられたとのことです。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

道具はすべて手作りとのこと。
型紙を彫るシグーという小刀、差し刷毛は人の髪、糊引きの筒袋は米軍の落しもの?
パラシュートの布に弾丸でつくられています。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪
まるで厚揚げか黒糖パンのように見えますが、型彫りの台になるルクジュウ。
島豆腐を干して乾燥させオイルにつけたものです。
ある作家さんのところで見たルクジュウは石鹸のようだたので、彫りやすいようにつくる人に
よって個性があるのかもしれません。
ルクジュウは長寿の祝いにつかうものでもあったそうで、60を重ねて120歳まで元気でという
意味合いもあるのだとか。
※「六重重にりば百二十ぬうとぅし百(むむ)といちまでぃんむていさけい」←琉歌にもありました
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

有公先生のデザインは沖縄の草花が多く見られます。毎日描くようにしているのだそうです。
色は、城間家で育った奥さまの道子さんの感性によるアドバイスが的確でいらっしゃるのだとか。
きもの カンタービレ♪
突き彫りで彫られた型紙。
玉那覇有公先生が城間家に入られたときには、型紙を彫れる人がいなかったのだそうで
有公先生が0からはじめ、栄喜先生に認められるまでになったのだそう。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪
水元で糊を落とす前、立体感を出すために隈取りされた部分がわかる反物。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

私、玉那覇有公先生の作品をこんなにたくさん一堂に会して見たのは初めてです(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)
さまざまなところから個展の依頼のお話はあったそうですが、泉二社長の熱意と意気込みによって
今回東京でははじめてとなる銀座もとじさんでの個展の開催になったとのこと。

玉那覇有公先生とカメラ
きもの カンタービレ♪

左◇パッションフルーツの意匠の藍型。有公先生の藍型の最後の1反です!
右◇プラチナボーイに染められたモダンな七宝に松竹梅
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

美しいキモノ夏号に掲載されているランタナの文様の両面染小紋。とってもキレイラブラブ
生地は八重山上布とのことですが絹のような手触りでした。
両面染は裏表ずれないようにキッチリあわせなくてはならず、通常の型置きの5,6倍の
労力がかかるのだそうです。現在、紅型の両面染をつくっているのは玉那覇先生だけです。
きもの カンタービレ♪

他にも魅力的な作品が揃っています。どんな方が着られるのかしら~と常々思っていた
のですが、次々と売れていくところを目撃しちゃいました\(゜□゜)/
銀座もとじさんの価格表示はわかりやすく変動が無いので、皆さま決断するのも早いです!
私も欲しいものがあったのですが、ない袖は振れず購入は見送りました。゚(T^T)゚。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

玉那覇有勝先生の絽縮緬に染められた帯。
塩瀬に比べると動きやすくとても染めにくいのだそうです。
有勝先生は読谷の工房にいらっしゃるそうで、近いうちに見学をさせて欲しいとお願いしました。
是非とも実現できるといいなあ…(*゚ー゚)ゞ
きもの カンタービレ♪

素晴らしい作品を目いっぱい見せていただきまして、ありがとうございましたm(_ _ )m

※撮影と『きものカンタービレ♪』への掲載許可をもとじさま、玉那覇先生よりいただいております。

今年は沖縄復帰40年ということで、サントリー美術館では貴重な古紅型が展示されています。
古紅型には、身近な文様ではなく沖縄では見ることが無い雪輪だったり、桜や松竹梅の
意匠が好まれ、王族や上級士族のものには大柄の図案でつくられて伝統的な意匠になって
いきますが、現代の紅型の作家さんは身近な沖縄の植物をテーマに連続する細やかな
意匠で描き、それがモダンでシャープな装いになっていくのが面白いです。

明日はサントリー美術館で再び鑑賞してきます('-^*)/


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